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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年10月31日]

市川市本八幡の進学塾:雑草魂の栄光と影

 ニューヨークタイムズHPのトップ記事(10月31日付 米国版)を見ると、人差し指を突き上げる上原選手の写真が掲載されています。

 写真の下にはこう書き添えられています。Relief pitcher Koji Uehara celebrated with catcher David Ross after the Red Sox won the World Series.(レッドソックスがワールドシリーズに勝ち、リリーフ投手ウエハラコウジが捕手のデイビッド・ロスと喜び合う)

 改めて、ヘッドラインを読みます。

Red Sox Rout Cardinals to Win Series(レッドソックスがカーディナルスを負かし、シリーズを制覇する)

 どうやらついに、MLBのワールドシリーズで、レッドソックスがカージナルスを下し、シリーズ制覇を成し遂げたようです。とても日本人として嬉しいことに、最後のバッターを打ちとったのが、上原浩治投手でした。

 この嬉しさをもっと増幅させたいという思いから、ワシトンポストHP(10月31日付 米国版)へ移ります。

A historic win for Red Sox at Fenway(フェンウェイ球場でレッドソックス、歴史的勝利)

 やはり、トップ記事の写真には、上原選手の姿があります。最後のバッターを打ちとった瞬間、グラウンド中央で捕手と抱き合い、高々と人差し指を空に伸ばします。

 確かに、この感動の場面を前にしたら、誰もが称賛せずにはいられなくなるでしょうが、人は光を見て、闇を忘れます。もっといえば、スポットライトの当たらない暗闇の中にこそ、真実が隠されていることに、なかなか気づかないのもまた人間です。

 あまりに有名な話ですが、上原投手の座右銘は、「雑草魂」というように、元々エリート街道をまっすぐ進んできたわけではありません。高校時代は無名で、体育教師を目指して、大阪体育大学を受験しますが、結果は不合格です。

 しかし、決して気持ちを切らすことはなく、次の年の合格を目指します。まさに「雑草魂」の真骨頂なのでしょう。家計の負担を減らすため、道路工事のアルバイトも行い、ジムでのトレーニングも欠かさなかったといいます。

 特にこのとき、憧れのノーラン・ライアン著の「ピッチャーズ・バイブル」を信じて練習を重ねた効果は大きく、大学進学後、野球部へ入ってから人生が一変します。日米大学野球選手権大会でも活躍し、MLBからも注目されるほどの選手となります。

 その後、巨人に入団してからの戦歴は、皆様の知るところですので、割愛しますが、MLBへ移籍した以降、防御率の数値などの実力面からすると、不運なことにそれほど高い評価を受けていたわけではないようです。

 本当にここが、最も注目すべきところなのでしょうが、優れた人間は、うまくいかない時期の過ごし方を知っているのではないでしょうか。

 何より、失敗が続いたとき、負けず嫌いの一流たちは、誰よりも悔しい気持ちが破裂しそうになるかもしれません。ですが、だからといって心が腐ることがなく、投げやりになることがありません。逃げることをしません。この「弱い自分に負けないメンタリティ」の強さに、たくさん成功の秘密が埋まっているように思います。

 そういうことで、どうしても教育の話につながりますが、学習の成果においても、メンタリティの力が要です。本日のビッグニュースは、大いにヒントとなります。私自身が、膨大な活力を与えられた気がします。

 時として、人生何をするにもうまくいかないことがあるでしょう。いつまでも光が当たらず、目立たぬ存在の時期があるかもしれません。

 たとえ苦境が続いたとしても、その魂だけは負けません。それが、雑草魂なのでしょう。どうにか暗闇でもがき続ける時期に、一筋の希望を失わず、それでも成長を信じ、着実に力をつけていくことに、雑草の際立った魅力があります。