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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年11月19日]

市川市本八幡の進学塾:何かがおかしい

 何かがおかしいと感じることがありますが、それは、ある授業の中で起きました。
 
 先日、社会の授業で、世界の飢餓をテーマとしました。

 国連WEP(国際連合の食糧支援機関)によれば、世界の人口70億8000万人のなかで、8億7000万人が低栄養に苦しんでいると言います。

 これを少々計算すると、世界の8人に1人が飢餓に苦しんでいということです。

 また別の計算式にすれば、世界の12.3%が飢餓に苦しんでいるという表し方にもなります。

 もっというと、FAO(国際連合食糧農業機関)によると、飢餓が原因で、1日に4〜5万人(年間で1500万人以上)が亡くなっています。その内訳を見ますと、7割以上が子供たちです

 このような補足用の資料を授業中に配付し、子供たちがこれに基づき分析していきます。確かに、上手に線分図や数式を操り、数値を求めることができます。

 しかし、まさにこのときです。正直、何かがおかしいと思いました。あまりに冷静すぎます。淡々としすぎています。

 これはあきらかに、間違っています

 そこで、私は、突然、子供たちに尋ねました。

 この資料を見て、君たちは、何も思わないのだろうか──一体、君たちはここから、何を学ぶのだろうか──

 さながらマシーンのように、数値を解くとしたら、それは人としての学びなんかではありません。言うに及ばず、受検を控えていますから、確実に得点することが求められるのでしょうが、仮にそれで合格をしたとして、私には、到底優れた人材へ成長するように思えません。そんな人間たちが、世の中で活躍する光景なんて、全く思い浮かびません。

 しばらくして、皆、はっとした顔になって、たった今目を通してきた資料を、真剣に読みなおし、自分が求めた数値と照らし合わせてくれます。

 すっかり反省した顔となり、世界の飢餓の痛ましさに胸を痛め始めます。日本では当たり前の飽食と比較して、今日も餓死する遠い国の子供たちへの想像をめぐらし、とても悲しい顔をしてくれます

 改めて気づくことですが、本当に子供たちは、まだ人生が始まったばかりなのですから、どうしても備えている情報が少ない分、なかなか正しい選択へ向かえません。裏を返せば、あたかも真っ白のキャンバスのように、何色にも染まるのが子供です。

 そうすると、やはり教育者の側が、清廉な心を持った上で、正しい道筋をつけてあげないと、未来の可能性たちは簡単に間違った方向へ進みます。おそらくあまりに残念なことですが、この国全体でみたとき、教育者の判断が良識を失っているために、人として進んではいけない方向へと後押ししていることがあるように思います。

 間違いなく私も教育者です。私の教え一つで、単純に数値だけ求めるマシーンにすることもできれば、他愛を重んじ、弱者を守る気概を育てあげられます。どんな人間になるかは、教育者の選択で決まります。それにしても、つくづく教育者としての責任を感じます。

 ぐっと、自分に問います。本物の教育とは何か。そして、戒めます。邪悪であるな。常に誠実であれ。すべての学びは、未来に活躍する一点へつなげるために。