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個別・少人数集団の塾「あっぷ指導会」
船堀校(あっぷ船堀)

[2013年11月21日]

市川市本八幡の進学塾:全ては、未来に活躍する一点へ

 このところ、本ブログにて度々、小学生向けの作文対策をテーマにしてきておりますが、作文の力が求められる事情は、入試全般に言えます。

 本日は、例として都立入試の国語で欠かせない200字作文について取り上げます。基本線としまして、まずは国語の問題構成をおさえておきます。毎年、国語の問題形式は、20点分が漢字で、80点分が読解(小説25点、説明文30点、古典の鑑賞文25点)となっております。

 都立入試では、文法知識や古典知識が問われることがなく、知識といえば、漢字の読み10点、書き10点のみです。ある意味、国語のまさに真骨頂というべき、読解の力が勝負を分けます。

 そして本題です。この説明文30点分の中で、実に10点分が作文です。100点中の10点ですから、全く手をつけないわけにはいきません。いかに減点されず、高得点化するかということになります。

 ただ怖れる必要はありません。一番怖れるべきは、苦手意識を持つことによって、情報の混乱を招くことです。技術レベルでは、勇んで満点を狙いにいけるのが、都立入試の200字作文と考えてよろしいかと思います。

 ポイントは、小学生の作文や大学受験のAO入試の小論文と同じです。何より、論点です。説明文の作者の意図を正確に理解した上で、作文の設問の狙いに沿えるかどうかですが、ここの論点にズレが生じてしまったら、大きな減点対象となります。したがって、好き勝手に思ったことを書けばよいのではなく、問題作成者の指示する論点を明確に抑えた上で、具体的体験を上手にコネクトできるかです。

 しかし、一口に論点をどのように抑えていくか、その方法論ですが、文章を読んだ際に、「作者の伝えたい一論点」と、「この論点から発して結論へ終結する一帰結点」に留意しながら、全体図をイマジネーション化することです。

 いったん言語と言う記号を、映像変換化できたのなら、この脳に描けている映像を、自分の言葉に切り替える力が要求されます。つまるところ、これが、本物のあらすじです。このようなあらすじにまとめる力を養うことで、的確に読解問題へ臨むことが可能でしょうし、この力がないと、作文問題への対応がききません。

 ということで、都立入試の国語の読解問題について、あらすじの見本と、説明文に限り、200字作文の見本も掲載します。

 ぜひとも、受験生の皆様、ご参考ください。ここで確認しますが、優れた思考とは、すなわち、「人間の叡智が凝集された技術」ですから、くれぐれも自分本位の気ままなやり方に固執せず、正しい情報を獲得し、正しい技術を習得してください。とにもかくにも皆様へご期待し、この場を借りて、技術論の話を展開しているのは、私に願いがあるからです。私自身が、若い才能たちへ願うのはただ一つです。

 今の学びの一つ一つが、高々志望校合格で終わらず、いつか未来に活躍する一点へつながることを、心よりお祈り申し上げます。


※文章と設問は省略します。

【小説文のあらすじ】
 走るのが好きだが、なんで人と競走するのかよくわからない。みんなに聞くが納得いかない。最後の最後、和尚さんに、「正直わからない」と言われ、失望する。が、だれもわかっていないことにかえって、これ以上悩む必要がないと思い至り、安心する。

【説明文のあらすじ】
 センスとは何か? 古人の場合、自然との関係をうたにした。言葉にならないさまざまな思いを、うたを通して自然とつながることができた。この思いはまさにセンスといえる。では、言葉になるとはどういうことか? 実用的なコミュニケーションがそうではないか。「生命にとって必要なこと」、「動物を越え、感情、見方を共有すること」は実用的な領域だ。さらにその先において、表現するのに工夫すると芸術になる。ただし、科学者も新しい発見によって、言葉にならない領域を認める。芸術と科学に違いってあるのだろうか。これは置いておくとして、辞典によれば、センスとは、「心の動き」とある。芸術に限らず、野球や哲学にもセンスがある。哲学者のセンスとは、適切に論ずる力ではないだろうか。

【説明文の200字作文】
 まさにセンスのよい服とは、自分の心の動きを適切にとらえた服装のことを言うのだと思います。
 私の場合、情熱を傾けてきたのはサッカーです。したがって、汚れまみれになったサッカーのユニフォームこそ、センスのよい服です。最も自分の熱い気持ちが、仲間の思いとともに、ユニフォームに表現されるからです。もっと練習することで自分を成長させたなら、一層センスのよさが際立つはずです。

【古典の鑑賞文のあらすじ】
 能因のAのうたは、「都を出たときは春のかすみの時期で、みちのくの白河につくと、秋風吹いている。時間の変化、都からの距離に感じ入るさまを描いている」
 Bもまた能因の作。「都の春のかすみを外の遠くから眺めると、実に趣深い」
 そしてCのうたは、頼政の作品。能因のうたによく似ているが、白河の紅葉、都の青葉というように、色彩の使い方がうまい。
 D、Eは、能因についての裏話。実は、Aのうたについて、そのとき実際には奥州へ行かず。行ったことにして、日焼けまでする念の入れよう。歌には、白河の白があり、意図的によみこまれているわけではないが、日焼けの黒との対比がなかなか面白い。