[2013年12月11日]
たとえば、吹きつける寒風に心がへし折れる人もいれば、かえってこの逆境を乗り越えようと勇む気持ちを奮い立たせる人もいるかもしれません。
たとえば、一輪の赤いバラを目に留めたとしましょう。ある人は、深紅の美しい花だと愛でる心に感じ入るかもしれません。一方、同じバラを見た瞬間、茎から生える無数のとげが危険だと察し、近づくことを拒む人もいるかもしれません。
同じものを見ても、陰と陽、明と暗、真っ二つに分かれるように、人によってその見え方が異なります。同じ人間でも、その日の気持ちや体調によって、物の見方が180度変わることもあります。
しかしながら、学習塾の講師たるもの、プロとしての一定の目線を保たなければなりません。自分のセンシビリティーに偏った物のとらえ方はご法度でしょうし、コンディションや気分によって、猫の目のようにその主張を変えてしまうことはあってはなりません。
では、学習塾のプロとして、心がけるべき目線とはどんなものなのかといえば、子供たちの長所に着目することです。その子の優れた能力を見つけて、その能力をフックとし、どの程度、学力を引き上げられるか、まさにその講師の才腕が試されます。
もちろん、むやみやたらに、褒め育てればよいということではありません。その子の課題点を見つけ、改善解決をはかることにも留意すべきでしょう。
ただそうはいっても、人の欠点ばかりが気になって難癖をつけたがるタイプだとしたら、講師として不適格です。
確かに様々な学習スキルを伝授することは、当然、担任講師の仕事ですが、それだけで充分ではありません。子供たちの優れた個々の能力に感動し、その感動を動力源とし、彼らのモチベーションを引き出すこともまた、決して欠かせない担任の務めです。