[2013年12月12日]
不朽の名作「大地」の作者で、ノーベル文学賞受賞者というと、アメリカの女流作家パール・S・バックです。
彼女ののこした箴言を紹介します。
私はやる気が起こるのを待たない。気分に頼っていたら何事も全うされない。何よりも始めることを知らなければならない。I don't wait for moods. You accomplish nothing if you do that. Your mind must know it has got to get down to work.
小説「大地」は波乱の中国史を背景とし、農夫一家の禍福を描いた作品です。主人公には二人の娘がいますが、その一人は知的障害者で、愛する娘の行く末を案じる主人公の苦悩が泣かせます。
小説の生みの親であるパール・S・バックは、「大地」の出版から19年後に「母よ嘆くなかれ」というノンフィクションを出版しますが、そこで初めて彼女の娘もまた知能指数が10歳に満たない知的障害者であることが明かされます。
そのような身の上もあり、女史は「大地」の主人公の体を借りて、娘への自分の思いをつづったと言われています。本当に娘に対する愛情は深く、小説出版で得られる高額な対価で、娘に特別教育を受けさせるために、どうやら「大地」を執筆したようです。
このような彼女の人生の沿革を知るなら、先の言葉はぐっと重みを増します。
きっとわが娘のことを思えば、気分で行動することは許されなかったのでしょう。とにもかくにも娘のために、なりふり構わず小説執筆に取り掛かるよりなかったかもしれません。
始める──という彼女の負った義務感は、実に崇高に感じられます。
始める──という、パール・S・バックに似た心の強さを、あっぷの生徒たちにはぜひ育んでほしいと願います。