[2013年12月28日]
この世界に、自分の人生はひとつです。何よりもかけがえのない唯一無二の貴重な時間なのですから、どこかで引き写したようなコピー版ではなく、もっと生き生きとして鮮やかなストーリーをつくってほしい、と願います。
ただ時には、自分の進む道をはばむ大きな苦難があるかもしれません。時には、信じた人間との間に衝突があるかもしれません。失敗や悲観も含めて、どの人生も、大切な子供たちの生きる過程であるなら、すべて貴い時間であってほしいものです。
たとえば、創作の世界です。ハリーポッターでも、ダイハードでも、その小説、その映画のストーリーに、人々が共感を得たとしたのなら、やはり、主人公に魅力があるからです。その彼、彼女の生きざまに賛同するからです。
では、その人間の魅力とは果たして何でしょう。決してくじけない精神ではないでしょうか。どんな状況でも、迷い、傷つきながらも、自分の信じる道を突き進む勇気がある人間です。誰よりも先頭に立ち、体を張ってたたかう解決型の人間です。
しかし、小説にも映画にも端役がいます。パニックムービーなら、いきなりのシーンで、地割れに落ちたり、怪獣に踏みつぶされたりしてしまう登場人物もいます。
そんなあっけなく終わる人生も、人の世界にはあります。運が悪いと簡単に切り捨てたくありませんが、厳然とそうした不幸に終わる人生も存在します。しかしながら、私は、本校本八幡校の子供たちに、クライマックスもなく終わるような儚い人生を創造してほしくはありません。自分の人生なのですから、そこに意志さえあれば、いかようにも創生できます。映画のヒーローが歩むような人生こそ、子供たちに断然ふさわしいと思います。
そしてくれぐれも忘れてならないのは、映画がそうであるように、人生にも必ずピンチがあります。そこには苦悩、葛藤が生じます。何の苦難もなく、ハッピーエンドに終わるような人生などに魅力なんてありません。「ハリーポッター」のハリーでも、「24」のジャックバウアーでも、それが真のヒーローなら、臆病風を吹かし逃げ回ったり、隘路を避けて通ることはしません。
勇ましく臨んだ苦闘の末に、この大きな困難を乗り越えてこそ、爽快で感動的な結末が待っています。深い谷があるからこそ、山場が際立ちます。この感情の頂上を征服することで、その人間は絶大なる精神的成長を遂げることができます。