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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2017年11月1日]

勉強法

勉強法

ストップウオッチが、ある東大生の人生を変えた!

記録すれば、達成感にも自信にもなる


 東大受験の勉強中は「ストップウオッチが相棒だった」というタレントの木村美紀さん。

 「まさに24時間! 肌身離さず持っていました。大学受験の勉強をしていた私は学校へ持参するのはもちろん、帰宅して勉強しているときも、リビングでくつろいでいるときも、ベッドで寝ているときも、手の届く範囲に“それ”を置いておきました。」

 それとは、ストップウオッチのこと。携帯電話ならまだしも、ストップウオッチを肌身離さずという人は、さすがに私以外にいませんでした。これから私が実際に行っていたストップウオッチの活用方法をお教えしたいと思います。
ノートには、大学受験本番まで、次のような内容を記録していました。

・日付
・その日に勉強した内容
・勉強の合計時間
・睡眠時間
・合間の時間(勉強でも睡眠でもない時間)
・1日の「満足度(充実度)」(◎、〇、△、×の4段階で示す)

 当時は寝る前にもストップウオッチのスタートボタンを押し、朝起きたらストップボタンを押し、睡眠時間までも計っていた私でした。

 特に大事なのは勉強の合計時間です。すべての勉強時間をストップウオッチ(カウントアップ方式)で計ってメモしていました。勉強の時間を記録することの効能は、何より勉強のモチベーションの継続につながること、一日一日、勉強と努力のポイントが着実にためられていくように感じられました。お店で使うポイントカードと同じで、いつのまにか「たまったな」という喜びを味わうことができるのです。

 しかも、日々、勉強した分だけ頭脳が進化していると考えれば、そのポイントは複利式の貯金のように雪だるま式に増えることにもなります。達成感だけでなく、実際の自分の成長を数値化して感じられました。私は、このストップウオッチ「のんたん」も、ノートもたぶん、一生捨てることができないと思います。

 小学生のお子さんには親御さんが計測して、記録するといいでしょう。そして1週間、1カ月の勉強時間を合計して伝えてあげると、子供の自信につながるはずです。「この1週間で10時間も勉強できたんだよ! 頑張っているね」という具合に。日々漫然とこなしていた勉強の時間が大きな数として確認できるのです。

 中高生になると勉強も他人と比較してしまいがち。偏差値やテストの結果などで、友人と比べて、劣等感にさいなまれることも少なくありません。しかし勉強時間を計っていれば、ライバルは「過去」の自分になります。今日1時間勉強したので、昨日の自分より1時間分レベルアップしたはずと思えるわけです。

勉強がタイムを競うゲーム感覚に

 私がストップウオッチを愛用するようになったのは、まだ小学校に行く前のこと。うちにはストップウオッチがはさみやのりなどの文房具と同様に身近にありました。「よーい、スタート!」。こう声をかけて、ボタンを押してくれるのは母でした。

 知育遊びのプリントから始まり、パズル、足し算・引き算の百ます計算……。これらの時間を計ります。目標タイムを設けて机に向かいます。「5分以内に終わらなかったら、デザートはおあずけよ!」「昨日よりちょっと早くなったね! よかったね!」。母はそう言って、当時の私の大好物、ココナツミルク入りタピオカなどをご褒美に、ゲーム感覚で私に勉強習慣をつけてくれました。

 母としては、まだ幼くて落ち着いて椅子に座っていられなかった当時の私を集中させる手段として、この遊びを思いついたようです。

 ストップウオッチの力が活用できるのは、何も勉強に限りません。スポーツにも使えます。小学4年のとき、市内のマラソン大会に学校代表として出場したかった私は、ある日マラソンの練習にストップウオッチを使ってみたくなりました。先生に「貸してください!」と頼み、ストップウオッチを首にかけて猛特訓しました。

 少しずつ、マラソンのタイムが縮まっていく快感! ゲームのレベルが上がっていくような達成感があったことを今も覚えています。最終的に、学校代表として出場を果たせたときの喜びは大きいものでした。ストップウオッチを見ながら走ったおかげで、時間をリアルタイムで感じられ、底力を発揮できたのです。

制限時間の最後にバカ力が発揮される

 ストップウオッチには、自分の奥底に眠っているポテンシャルを引き出してくれる力があることもわかりました。カウントダウン方式で問題を解いた場合、残り時間が迫ってくると、急にひらめいたり、ふと気づくと問題が解けていたりします。学生時代、試験が終わるとき「あと5分だ!」と焦ると、集中力が高まりました。

 センター試験でも、終了時間が近づいたときに力が発揮される「締め切り」効果がありました。数学の図形問題で角度を問うものが、どうしても解けなかったのですが、「あと5分」「あと3分」……とカウントダウンしていく中、私はなぜか沈着冷静でした。そして、諦めることなく考え抜きました。残り10秒になると万事休すで、見直しをしたり、手を止めたりする人もいるでしょう。でも、私はぱっとひらめきました。「わかった!」

「1分間観察」で記憶力が鍛えられる

 時折、母と絵を題材に遊ぶこともありました。「1分間、この絵をじっと見て。形をよく観察して」と母。デジタルの時間が刻まれる中、私は当時流行していたセーラームーンの絵を制限時間いっぱいじっと見つめます。やがて1分経過すると絵はしまわれて、白い紙が登場します。その白い紙に複雑な形のヘアスタイルや、洋服のデザイン、体のライン……など覚えたイメージをできるだけ正確に再現する遊びです。

 その出来栄えは絵によって異なりましたが、楽しかったです。1分という制限時間は短いけれど、逆に、それ以上長く集中して絵を頭にたたき込むのは難しかったかもしれません。つまり、こうしたイメージ再現遊びも、ストップウオッチという短時間集中を促すアイテムがあったからこそ、スリル感を楽しむことができました。

 その影響か、高校時代は暗記力が問われる社会や理科系の科目の教科書を、短い時間で覚えられるような能力がついていました。時には、「1ページ1秒」ペースで、分厚い参考書全体をざっと頭に入れるような勉強もしていました。300ページでも300秒、つまり5分でおおまかに内容を把握するという具合です。

 もちろん、全文をそのまま記憶できるわけではありませんが、文章の要点を押さえ、何の説明がページのどのあたりに配置されているかなどを、映像的に記録する要領で脳にインプット。すると、インプットした参考書を頭の中でめくりながら問題を解くこともできました。

 今でも小説や漫画を読むときは、2回は読みます。最初にぱらぱらとページをめくり、おおまかな話の流れを理解したり、物語の全体像をつかんでから、もう一度読み直します。

スタートと同時にやる気スイッチがONになる

 ストップウオッチはラストスパートをかけたいときには、もってこいの道具だといえるでしょう。こうした焦りや緊張感は、力を発揮するためにある程度は必要だし、慣れればプラスに働くと思います。

 しかしラストスパートだけでなく、スタートアップでもストップウオッチは効果を発揮するんです。

 私は、今でも集中したいことに取り掛かるとき、気乗りしないなと思っていても。右手の親指でスタートボタンを押すと、いつでもどこでも心のスイッチがONになります。ストップウオッチは0.00秒単位まで計ることができるデジタル式にかぎります。0.00秒単位までの数字が休むことなくせわしなく時を積み重ねている様子を見ると、何かしなければ! という気持ちになります。一秒一秒がいとおしい。そうした感覚は、アナログ式のストップウオッチからは感じにくい特別な感覚です。

 このように私の勉強には昔も今も、ストップウオッチは欠かせないものとなっています。ストップウオッチ勉強法にはメリットはあってもデメリットはありません。

 ストップウオッチ1つあれば始められます。まずは今日の宿題から計ってみませんか?