[2018年3月28日]
宇宙は無から
今からおよそ138億年前という途方もない大昔に、私たちの宇宙は誕生したと考えられています。1940年代の後半以降、宇宙は「ビッグバン」という「火の玉」状態からはじまったといわれてきました。
このころの宇宙は超高温だったので、原子も原子核もバラバラで、電子や陽子、中性子が自由に空間を飛びかっていました。これが
火の玉状態です。宇宙はその後も膨張をつづけ、現在の広大な宇宙になりました。
しかし1980年になると、ビッグバンには前があったと考えられるようになりました。それが宇宙の超急膨張、「インフレーション」です。目の前の空間の膨張速度が光速をこえるといいますから、想像を絶します。
理論モデルによって、この膨張の予測は何十桁もことなります。しかしあえて大雑把にいえば、砂粒が一瞬のうちに数百億光年の大きさほどにまでふくれるすさまじい膨張といえます。しかもここでいう一瞬とは1秒の100億分の1の100億分の1以下といった超短時間です! インフレーションが終了すると、大量の物質と光が生みだされ、宇宙は灼熱の火の玉となりました。これがビッグバンです。ビッグバンとインフレーションの五感からすると、ビッグバンの方がはげしい膨張という印象をもたれるかもしれませんが、そうではありません。インフレーション期の膨張は圧倒的で、ビッグバン以後の膨張速度とは比較にならないほどの超急膨張なのです。
なぜインフレーションという、とんでもない宇宙の急膨張を物理学者たちは考えだしたのでしょうか? それはビッグバンモデルが、天文学に持ち上がった数々の謎をうまく説明できなかったからです。宇宙初期にインフレーションがおきたと考えることで、たとえば「宇宙に無数に存在する銀河がどうやって形成されたのか」などがうまく説明できるのです。
「ニュートン」より