[2018年4月17日]
「明月記」定家とスーパーノヴァ
「新古今和歌集」や「小倉百人一首」で知られる藤原定家が、「明月記」という日記を残しています。当時の日記は今と違って、儀式の詳細を書きとめて子孫に伝えるためのものでした。
その中に1006年・1054年・1181年の3回、客星の出現が記録されています。客星といのは普段は見えない星のことで、超新星や新星、彗星などを意味しますが、これらの記述は超新星です。
それぞれ1006年のものはオオカミ座、1054年がおうし座、そして1181年がカシオペア座の超新星でした。特に1054年のものは、世界で初めて歴史に記録された超新星として認められており、今日、かに星雲として観測することができます。
超新星というのは実は星の最期の大爆発で,星の生涯のうち最も劇的なシーンです。 望遠鏡のない時代の超新星の記録は世界で7件しかなく、そのうち3件が「明月記」記載されています。
ただしこれは、家定自身が観測したものではありません。彼は1162(応保2)年の生まれですから、1054年の超新星の出現を見るべくもありません。それは陰陽師・安倍泰俊から阿部家に伝わる記録を伝聞したものです。森羅万象に対する観察力。陰陽師の家というのは恐るべしですね。