[2021年3月26日]
本日3月26日はカチューシャの唄の日です。
1914年(大正3年)の3月26日、島村抱月と松井須磨子が起こした劇団「芸術座」が、トルストイの『復活』の初演を行いました。
この中で歌われた『カチューシャの唄』が大流行しました。
『復活』は、帝政ロシアの小説家レフ・トルストイの代表作です。
1899年(明治32年)に雑誌への連載で発表され、若い貴族とかつて恋人だった女の、贖罪と魂の救済を描き、それを通じて社会の偽善を告発した作品です。
『カチューシャの唄』の作詞は島村抱月と相馬御風、作曲は中山晋平です。
『復活』の劇中歌として、主演女優の松井須磨子などが歌唱しました。
また、1914年5月に『復活唱歌』の題名で、松井の歌唱によるレコードが発売されました。
歌詞の「カチューシャかわいや わかれのつらさ」は爆発的な流行語となりました。
『カチューシャの唄』の歌詞は以下の通りであると思われます。
当時は歴史的仮名遣いが用いられていましたが、これは現代仮名遣いで表記されたものです。
1. カチューシャかわいや わかれのつらさ
せめて淡雪 とけぬ間と
神に願いを(ララ)かけましょうか
2. カチューシャかわいや わかれのつらさ
今宵ひと夜に 降る雪の
あすは野山の(ララ)路かくせ
3. カチューシャかわいや わかれのつらさ
せめて又逢う それまでは
同じ姿で(ララ)いてたもれ
4. カチューシャかわいや わかれのつらさ
つらいわかれの 涙のひまに
風は野を吹く(ララ)日はくれる
5. カチューシャかわいや わかれのつらさ
ひろい野原を とぼとぼと
独り出て行く(ララ)あすの旅
上演当日に、劇場の廊下に歌詞を大きく書いた紙を貼り出すと、それをメモしようと客が群がり、合唱となったエピソードもあります。
松井の生誕地である長野県長野市や、中山の生誕地である長野県中野市の「中山晋平記念館」などには、この歌の歌碑があります。
『復活唱歌』(カチューシャの唄)のレコードは、蓄音機自体が高価で普及率が低く、数千枚売れれば大当たりと言われた当時でも2万枚以上を売り上げたという説もあります。