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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2010年8月4日]

コラム (再び)意識を変えて、今を輝かせよう!

「オヤジの栄光時代はいつだよ…
 オレは今なんだよ!!」
   (井上雄彦『スラムダンク』より、一部改)


 最近の話題のひとつに、4年に一度のサッカーワールドカップが開催されたことがあげられます。私自身はサッカーを専門的にやった経験は無いのですが、スポーツ好きとして関心を持っています。

 過去のワールドカップにかかわって、印象深い場面がいくつかあります。その中のひとつが、前回のワールドカップでの、グループリーグの試合が終わった直後の、中田英寿選手のピッチに寝ころんだ姿です。

 前々回の日韓共同開催の時に初めて決勝トーナメントに進んだこともあり、前回の日本チームは史上最強と言われ、ジーコ監督のもと、かなり期待されていたんだそうです。その一方で、過去のワールドカップや海外チームでの経験が豊富な中田選手が、他の選手の意識の低さに危機感を持ち、懸命に声をかける姿も伝えられていました。この後引退を表明した中田選手は、このワールドカップを自分の最後の試合にする決意で臨んだのだと思うのですが、周りの選手の意識がそれにともなわず、結局、日本チームはグループリーグ3試合で1勝もあげることができず敗退します。試合直後、タオルを顔にかけピッチに寝ころんだ中田選手は、おそらく涙を流していたであろうと伝えられています。また、その直後に「次のワールドカップは」とレポーターにインタビューされた際の、中田選手の複雑な表情も印象に残っています。

 以前このたよりで、高校サッカー部について書かせていただいたことがあります。ごく普通のチームが、新しく監督を迎えたのを機会に、「オン・ザ・ピッチ、オフ・ザ・ピッチ(ピッチの上で一生懸命に、ピッチを離れても一生懸命に)」の考えのもと、1年後に目標が全国優勝だと堂々と公言するまでになり、実際に全国大会まで進んだというものです。急に才能ある選手を集めたわけでも、飛躍的に練習設備が整えられたわけでもありません。変わったのは意識だけ、極論すればただ本気になっただけです。本気になるだけで、誰でもすごいことができるのです。

 多くの生徒を見てきて、理解の早い人・遅い人というのは確かにあるのですが、それ以上に意識の持ち方・取り組み方の違いが大きいと思います。例えば宿題、それを先生に見せるためだけに埋めて片づけるという意識で取り組むのか、自分の力をつけよう・伸ばそうという意識で取り組むのか、その差は歴然としています。現状としては、見せるためだけに片づける意識の側に近い人が圧倒的に多いように見受けられます。

 意識を変えよう。まずは、やるべきときに、やるべきことを、本気で取り組もう塾や学校での授業中には全国模試で一番をとるつもりで、部活の練習中は全国大会での優勝を目指すつもりで。モヤモヤしたり、ダラダラしたり、ヘラヘラしたり、シラけたり…それはもったいない。もっと純粋に、もっと真っ直ぐに、もっと本気に、もっと一生懸命に…充実感あふれる時間を送ろう、時に悔し涙を流すくらいに。

 冒頭の言葉「オヤジの栄光時代はいつだよ…オレは今なんだよ!」も、以前載せたものです。無限の可能性がある時代、体や頭や心がどんどん伸びていく時代、そんな学生の時代に「一生の中でも今が1番の栄光時代なんだ」という思いで、一日一日、一時間一時間を、一生懸命に、生き生きと、過ごしていってほしいと願います。

 最後に、今回のワールドカップ開催に際し、日本のサッカー史を扱ったテレビ番組の中で心に残ったものをもうひとつ。いわゆる「ドーハの悲劇」といわれた時の日本チームの話です。当時の日本サッカーはアジアでも勝てず、ワールドカップ予選も勝ち進めない状況の中、監督にオフト氏を招きました。拘束されることの多いそのサッカーに対し、日本の中心だったラモス選手は反発したそうです。しかし国際試合をすると通用することがわかり、勝てるようにもなって、選手達は手応えを感じるようになります。それでも反発を続けるラモス選手に、ついにキャプテンだった柱谷選手が「そういう態度を続けるのであれば、チームから出て行ってくれ」と言ったそうです。年上であり、スター選手でもあったラモス選手に対して、そう言うことはとても勇気が必要だったということです。結局、あと一歩、ロスタイムに相手の同点ゴールでワールドカップ出場を逃したのですが、日本チームの躍進の影にはそうした出来事もあったということです。当時を振り返ったラモス氏は今、柱谷選手にとても感謝していると語っていました。

 学生時代の友達は、とかく一緒に遊んだりふざけあったりする存在であることが多いです。そして時に、心ない言動で相手を傷つけたり、迷惑をかけたりします。しかし一方で、心ある注意をすることもできるのです。自分を本当に大切に思ってくれる友人に出会えたら幸せですし、自分自身が相手を本当に思いやる友人になることができます。