[2011年4月28日]
新しくて古い英語の学習方法
<授業で、音読やリスニングを大事にする理由>
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加藤学習塾での小学英語はもちろんのこと、私(山本)の担当する英語の授業では、特に音読やリスニングを大事にしています。それは、中学英語の学習における重要な盲点を改善するヒントがここにあると信じるからです。
ところで、私が以前指導していた生徒で、帰国子女でもなく外国生活を経験しているわけではない普通の小学1年生の女の子がいました。その女の子は、小学1年生でありながら英検の準2級を受験して1回で合格してしまい、地方新聞にまでその勇姿が載りました。通常、英検の準2級といえば高校生が受けるテストで、そう簡単に1回では合格できないものです。またこの女の子は、実は日本語の国語が苦手で、私はその国語を担当していたのです。
さて、この女の子はどんな英語の勉強をしてきたのでしょうか。この答えには、事前にいくつかの知識が必要だと思われます。また、この事前知識が英語を苦手とするお子様(特に中学生)にとって英語が得意なるチャンスを生む可能性があるのです。
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事前知識?
「言語を学ぶ順序」とは
少し日本語の話をしましょう。
皆さんは、いつから日本語を話せるようになりましたか?おそらく、1歳ころから少しずつおしゃべりを始め、3〜4歳の頃には、もうお母さんやお父さんと対等に話せていたのではないでしょうか。そして、小学校にあがるまでには、絵本が読め、文字も書ける、というようになっていたと思います。つまり、特別な勉強をしていなくても、日本語が話せて、書けるようになっていたはずです。
ところで皆さんは、英語を話せる自信がありますか?簡単な挨拶くらいはできても、英語で会話をするとなるとちょっと…、と思う人が大半ではないでしょうか。どうして、中学校・高校と学校教育で6年以上も英語を勉強しているのに、英語を話せるようにならないのでしようか。それは「人間の言語習得能力と深い関係があります。人間がある言語を習得し、話せるようになるには、順序があるのです。私たちが習得してきた日本語では、その順序を踏まえていました。しかし、学校教育において英語を習う際には、面白いほどこの順序に逆行しているのです。では、詳しく見ていきましょう。
正しい言語習得の順序は以下のようにいわれています。
hearing→listening→speaking→reading→writing
ちょっと待って、hearingとlisteningって一緒じゃない?」と思った人いませんか?この2つの違いは何でしょうか。
hearingとは自分の意志とは無関係に、自然に音が入ってくる状態です。それに対してlisteningとはある音を意識的にキャッチする状態です。たとえば、今皆さんはこの文を読んでいますが、ちょっと中断して耳を澄ませてみてください。エアコンの音、風の音、誰かの話し声など、とにかく何らかの「音」が聞こえませんか?実際に音はしていたのに、意識をして聞こうとはしていなかった。その状態がhearingです。そして、聞こうと意識をして聞くことがlisteningです。
人間が生まれてする言語習得の第1段階はhearingです。生まれたばかりの赤ん坊は、音を意識的に聞き取ることは出来ません。赤ん坊の生活している周囲の生活音(たとえば、お母さんの声や車のエンジン音、水の流れる音など)を、音のシャワ−のように浴びている状態です。赤ん坊は半年ほどhearingをするといわれています。そのhearingを通した脳への刺激が次の言語習得能力を呼び起こすのです。
言語習得能力の第2段階はlisteningです。赤ん坊の成長過程を考えてみましょう。生後しばらくの子どもに「パパだよ」と言ったら寄ってくる。「○○ちゃんこっち向いて」と言ったら振り向いてくれる。これは、音を意識的にキャッチして気持ちを傾けて反応しているからです。ここまでがlisteningです。次の段階ははきっと、「ぷぁぷぁ」とうまく言えなくても音を真似して話そうとし始めます。つまりここからspeakingが始まるのです。
当たり前ですが、そもそも人間は自分が聞きとることのできる言葉しか発することができません。ですから、listeningができない人はspeakingができるはずがないのです。「そんなことはない、聞けなくても話せる」という人もいるかもしれませんが、それは英文を頭で暗記しているだけで、それは「話せる」ことだとは言えません。話せるというのは、伝えたいこと、伝えたい気持ちが思わず口から出ることです。文法を使って頭の中で組み立てた上で口から出すことではありません。日本語を話すとき、口語文法を意識して話す人はいませんよね?
そしてspeakingの次にくるのがreading。「ひ、と、つ、・・・に、く、だ、さ、い、な」というように、自分が知っている文字や単語を拾い、自分の知っている音の範囲の中で、文字に従って口に出していきます。
そして最後にwritingです。これまでの段階で得た言語を、音にする代わりに文字にします。全ての段階を経た上でのwritingなのです。つまり、writingは言語習得における最終段階といえるのです。
こんな知識を背景にして、ある英語講座では「文法もイディオムもいらない」と断言しています。もちろんそれが全てではないと思いますが、参考にすべき内容を含んでいると思われます。
次回につづく