[2012年6月24日]
問題を解決する手段を教育は、教えることだ!
刺した少女「気にくわなかった」 授業中の殺人未遂事件
(2012年6月19日 朝日新聞)
○和歌山県高野町で18日、私立高野山高校3年の女子生徒(17)が体育の授業中、ナイフで刺され重傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された同級生の少女(17)は、「今までも女子生徒が気にくわなかった」と話していることが捜査関係者への取材で分かった。
県警は、2人の間に以前から何らかの軋轢(あつれき)があり、事件につながったとみて、同級生などから事情を聴くなど捜査している。
○県警少年課によると、「護身用に持っていた」という凶器の折りたたみ式ナイフ(刃渡り約8.5センチ)は、女子生徒の左側の背中に柄の付近まで刺さっていたという。
少女は「バレーボールの後片付けをするよう女子生徒から言われ、かっとなった」と話しているという。
○高校側は19日午前、全校集会を開き、事件について生徒に説明した。
私のコメント
◇今回の事件の詳しい経緯はわかりませんが、きっと二人の間に、大きな問題があったことは想像できます。
だからこそ、護身用のナイフを持っていたのかもしれませんし、「バレーボールの後片付けをするよう女子生徒から言われ、かっとなった」と記事にもあるように、二人の間で何か差別的な関係が出来上がっていて、それが問題だったのかもしれません。
しかし、そういう問題を暴力という形で解決してしまいました。
そして、もっと大きな問題を加害者も被害者も背負ってしまいました。
◇この事件から私が感じるのは、学校教育の中に、人間関係上の問題解決を教える機会がはたして組織的にあるのかどうかということです。
学力の向上が、いつの間にか日本の教育の大問題になってしまいましたが、それ以上に大切なものが、生きていく文脈で起こる問題の解決能力です。
◇大人になってから身につければ良いというのは、この時代通用しません。
今の子どもは昔の子ども以上に、社会的文脈の中で生きているからです。
社会的存在としての子どもは、以前以上に大きさを増しています。
◇大人の世界と子どもの世界に境目がなくなってしまった現在、大切なことは、学校の中で学ぶしなかない、そういう状況が徐々に出来上がっているのです。
そのことを私たちは、意識した方が良いです。
以前なら大人になってから、身につければよいと思われていた社会的スキルは、今は、子どものうちから学ばせた方が良いと思います。