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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2012年7月5日]

怖い学力の二極化

怖い学力の二極化

★「学力低下」の原因は「学習意欲の低下」
 「分数ができない大学生」がいるという話から巻き起こった「学力低下問題」ですが、そのことについて考えてみたいと思います。実際に学力低下は起きています。しかし、その原因は「ゆとり教育」だけではないようです。
 まず、「学力低下」の実態について把握しておく必要があるでしょう。現場の先生からは「最近、簡単な漢字が読めない・書けない子が増えた」とか、「授業中ちゃんと席に座っていることができない子が増えた」とか、「中学生になっても四則演算ができない子、おそい子が多い」とかいったことをよく耳にします。確かにその通りだと思います。一部の教育関係者の印象や感想に過ぎないと反論されそうですが、確かな証拠があります。
 それは学力の二極化です。以前なら、できる子、ふつうの子、できない子がバランス良く(?)いました。しかし、現在では、できる子かできない子かのどちらかで、いわゆるふつうの子が少なくなっています。実際に小中学校のテストで、100点に近い点数をとる子がいるかと思いきや、同時に10点、20点しかとれない子も少なくないという現象が起きています。平均点が80点ほどあるにもかかわらずです。これはいったいどういうことでしょうか。
 ある教育研究家によれば、普段は勉強せず試験の前だけ勉強する、いわゆる手抜き勉強が学力低下の主な原因だと指摘しています。某教育機関では、学力低下以前の「意欲低下」こそが、根本的な原因だと指摘しています。つまり、学校勉強そのものに対して、「やる気」がなくなっている子が増えているのではないかということです。
 考えても見てください。学校の勉強なんかよりはるかに面白いものがちまたにはあふれています。ゲームに、テレビに、携帯電話に、インターネットetc。こんなに面白いものがたくさんあふれた世の中に住んでいて、学校の勉強に興味を持てというのは酷かもしれません。
 こうした意欲の低下から、授業や宿題という勉強そのものに対して、勉強しない子が多く、しても手抜き勉強をしている子が増えているのではないかということなのです。もちろん、まだまだ自ら進んで楽しく勉強する子どもはたくさんいます。 しかし、その一方で、進んで楽しく勉強するどころか、勉強が嫌だからしないと居直る子が増えているのです。

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★甘やかしや放任が学習意欲の低下を生む
 昔は、漢字の書きとりや計算ドリルなど、いやいやでも勉強はしたものです。いやむしろ「させられた」といった方が適切かもしれません。しかし、最近では、詰め込みは良くないとか、無理矢理やらせるのは良くないとか、子どもたちの主体性に任せた方が良いという風潮から、以前ほど「やらせなくなった」のが現状です。
 一見子どものためのように思えますが、実はこれこそが子どもを一番だめにしています。漢字や計算は基礎中の基礎です。嫌でもやらせなければいけないことなのです。それは、漢字や計算がすべての学習に対して基礎であることももちろんですが、頭の訓練でもあるからです。
 最近では、小さい頃から頭を使わないせいか、実に頭の固い子がいるのも目立ちます。脳神経の発達は小学校の中学年まででほぼ完成するとさえいわれています。つまり、遅くとも小学校の3,4年生までに、基礎基本を徹底しておかないと取り返しのつかないことになりかねません。
 例えば算数の割合や数学の文字式などでつまずく子は多いと思います。しかし、本当につまずいているのはもっと前の小学校3年生ころなのです。このころに正しい頭の使い方を学んでいないと、その後大きな後れをとることになるのです。いいですか。つまずきは小学校3年生で起きています。そして、それがもとで転ぶのは「小学校5年生の割合」や「中学校の文字式」なのです。そして、転んだ頃にはもうすでに手遅れなのです。

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★しつけこそ問題解決の糸口
 最後に、学力低下のある意味これが根本的な原因かもしれませんが、「勉強をする姿勢ができていない」、「勉強をする環境にない」ということです。これはもうしつけの問題です。いや常識の問題かもしれません。「先生の言うことが聞けない」、「授業中、席に着いていられない」、ましてや「家族旅行で学校を休む」なんていうのはもってのほかです。自分勝手さやわがままさを個性とか主体性と勘違いしている人が実に多いのではないでしょうか。これでは学校の先生もたまったものではありません。
 このように見ていくと、「ゆとり教育」だけが学力低下を引き起こしているのではなく、学習環境や学習方法に問題があることがおわかりでしょう。マスコミやどっかのサイトのように、「○○の一つ覚えみたいに指導要領を批判すれば問題が解決する」という問題ではないのです。悪い悪いと世間を批判ばかりしても何も良くなりません。
 まずはご家庭で「甘やかしや放任よりしつけを優先する」ことを考えなければいけないのです。