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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2012年7月8日]

学力に対する忠誠競争は、やめた方が良い!

学力に対する忠誠競争は、やめた方が良い!


橋下市長「中1、2テストも合否材料」 公立高入試対象
(2012年6月30日 朝日新聞)


○大阪市の橋下徹市長は29日の会見で、大阪府内の公立高校の入試について、「中1、中2のがんばりを、今の内申書制度ではなく、府内統一の学習到達度テストで評価するべきだ」と述べ、内申書と入試以外に、中1、中2で新たに行う2回の試験も合否材料とする考えを示した。

○現行制度では、府立高全日制普通科の大半が、内申書と入学試験の二つを合否の判定材料にしている。これに対し、橋下市長は内申書だけでは公平な評価が難しいと指摘。府内統一のテストをすることで学力を公平な尺度で測り、新たに合否の判断材料に加えるべきだとした。内申書については「クラブ活動や学級活動、生活態度などを評価すればよい」と述べた。

○府教委幹部は「初めて聞く構想。現時点では何も言えない」と話している。(金成隆一)


私のコメント

◇その昔、岡山県にも今回の記事の発想に似た試験がありました。連合模試と言われた到達度テストが中1・中2でありました。97年に廃止されましたが、その時は、中2だけが残っていて、高校入試の選抜資料に入り、早い時期からの受験圧力になって、子どもたちに良い結果を生まないということで、廃止になった経緯があります。


◇連合模試の結果で、志望校が決定されてしまうので、連合模試の出来が悪い生徒はあきらめ、連合模試の出来が良い生徒は、安心し、結局、入試まで緊張感が続かず、学力が伸びなかったのです。


◇だから、その当時、岡山県の中学生は、次のように言われていました。
「中2までは中国地方でも学力が高いのに、中3になると学力が下がって、中国地方の下位になる」と。連合模試の選抜資料に対する割合が大きかったことによって、そういうことになってしまったのです。


◇義務教育を卒業して、高校入学を目指すことがある程度必然になっている昨今、記事にあるようなテストを選抜資料にするということは、結局、学力を高めることだけが主眼となって、何をがんばったのか、その実質は見えなくなってしまうということです。


◇学校の勉強でなくても塾でも家庭教師でもなんでもいいから、兎に角、学力を高めるために頑張ればいいということになってしまって、ますます私事性が強化されてしまうだけです。自分勝手な人間をどんどん作ってしまう可能性があるということです。


◇学校は、社会の再生産装置なのです。自分を抑えて社会生活上のルールを尊重することの訓練が学校で行われなければならないのです。その要素を全く無視してはいけません。


◇橋下市長は、学校は、学力をつけるところだという固定観念があるようですが、もう少し慎重に考えてほしいと思います。