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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2012年7月29日]

一人前の大人にしていくことの重要性を議論のテーマにするべきだ

一人前の大人に子どもをしていくことの重要性を教育議論のテーマにするべきだ!


児童虐待6万件に迫る 11年度、10年前の2.6倍に
(2012年7月26日 朝日新聞)


○全国の児童相談所(児相)が2011年度に対応した児童虐待は、前年度より約3500件多い5万9862件だった。統計をとり始めた1990年度以降、21年連続で過去最多を更新。10年前の2.6倍に増えた。また、10年度に虐待で亡くなった子どもは、前年度より10人多い98人(このうち心中は47人)にのぼった。厚生労働省が26日に速報値を公表した。

○児童虐待の件数は、児相が住民などから通報や相談を受け、親への面接指導などの対応をした件数。厚労省は、虐待自体が増えている可能性に加え、住民や関係機関の意識が高まり、通報も増えたとみている。都道府県別では大阪府(8900件)、神奈川県(7296件)、東京都(4559件)が多かった。

○また、4月からの新制度に基づき、児相が虐待を防ぐために親権の一時停止を家庭裁判所に申し立てたのは、親が子どもの治療を怠ったケースなど、6月末までに7例あった。

○一方、厚労省の専門委員会が10年度の虐待死を検証したところ、心中以外の虐待で亡くなった51人のうち、45%が0歳児、84%が3歳以下だった。主な加害者は実母が59%で最も多く、実父は14%。また、首を絞めるなどの身体的虐待(63%)や、自宅に放置されて餓死するなどのネグレクト(28%)が目立った。

○0歳児の死亡例を中心に、母親に「望まない妊娠」「10代での妊娠」「妊婦健診を受けていない」といった傾向も見られた。専門委員会は再発防止策として、望まない妊娠をした女性向けの相談窓口の拡充や、自分でどうしても育てられない場合には里親や養子縁組の制度があることを周知するよう地方自治体などに求めた。また、職員の人手不足や、頻繁な人事異動で専門性が育ちにくいといった児相の課題も指摘し、「量」と「質」の改善を提言した。(長富由希子)


私のコメント


◇子どもが子どもを生むという現象がどんどん増加しているということでしょうか。
この記事を読んで、一番最初に思った印象です。教育が、一人前の大人に子どもをしていくことだとすれば、この記事のように、幼児虐待が増えていくことは、教育が社会的にしっかりしていないということです。子どもを一人前の大人に出来ずに、社会に出してしまうということだからです。


◇それでは、どうしてこういう事態になってしまったのでしょうか。それは、明らかに私事性が教育の中で幅を利かせてきたからです。教育が自分のためだけの勉強に成り下がってしまったからです。


◇教育は、学力だけを問題にするものではありません。しかし、昨今の教育議論は、学力だけに偏った議論になっています。一人前の大人に子どもをするために、何が必要なのかという議論は全くといっていいほど日本の中にはありません。


◇しかし、公共性を子どもたちが獲得する過程が教育なのです。自分のためにではなく、社会に出て、自分がその社会の文脈を読み取りながら生きていくために、教育が行われます。公共性という流れの中で自分を生かせるように、大人が子どもを導いていくことが教育の大きなテーマなのです。


◇そのことを忘れてしまったのではないでしょうか。だから、社会現象としての幼児虐待は、ひとえに教育のあり方の問題だと私は思うのです。


◇一人前の大人に子どもをしていくことの重要性を教育議論のテーマにするべきです。