[2012年8月5日]
教育関係者は、身内に甘いという体質からの脱却を!
女子に抱きつく教諭、市教委セクハラ認定せず
(2012年7月31日 読売新聞)
○浜松市内の市立中学校に勤務していた当時30代の男性教諭が、2007〜08年に教え子の女子生徒に抱きつくなどの行為を複数回していたにもかかわらず、この事実を知った市教委が、セクハラやわいせつ行為とは認定せず、発覚から2年近く経過してから「不適切な指導」として文書訓告処分としていたことが30日、市教委への取材でわかった。市教委は処分を公表していなかった。
○市教委などによると、男性教諭は自らが顧問を務めていた陸上部に所属する女子生徒に対し、07年10月から08年4月までに、部活の指導名目などで女子生徒と2人きりになり、車の中などで肩や頭を抱き寄せて話をしたり、生徒の手を握ったりしたほか、合宿中の宿泊先で生徒を深夜に自分の部屋に呼び、抱きつくなどした。こうした行為は少なくとも6回あったという。
○生徒が保護者に「学校に行きたくない。部活を続けられない」などと相談し、08年4月頃に発覚した。
○市教委は教諭から事情を聞いたが、教諭は「指導のフォローのつもりだった」などと話し、わいせつやセクハラ目的ではなかったと主張したという。
その後、教諭は自宅謹慎となり、そのまま特別休暇を取った。
○市教委は発覚から約2年が経過した10年3月、〈1〉直接的なわいせつ行為と判断できない〈2〉過去の事案との比較──などを理由に教諭を懲戒処分でなく、「不適切で行き過ぎた指導」として文書訓告処分とした。男性教諭はその後、自己都合退職した。
○同市教委の基準では、児童生徒へのわいせつ行為は原則として懲戒免職処分、「セクハラ」も「不適切な言動」も戒告、減給、停職、免職の処分を下すことができる。しかし、この事案については「セクハラとは判断できず、懲戒には至らない」と判断したという。基準では、免職や停職は公表の対象になるが、内規処分である文書訓告は原則として公表されない。
○処分まで約2年かかった理由について、市教委教職員課は「(当時の担当者が)在校中の被害者に配慮したためでは」などとしている。
○ある市教委関係者は「どう考えてもアウトの事案。当時の判断がどうしてこうなったのか」と話した。
私のコメント
◇今回の記事のように、教育委員会は、身内に甘いです。これが、世間の不信感となっています。大津市のいじめ問題の処理も、今回の浜松のわいせつ問題の処理も、常識的に言えば考えられないものです。
◇まず、企業的な観点からいえば、疑わしきは、罰するです。それを裁判のように考えて、疑わしきは、罰しないと考えているから、このようなことが起きるのです。
◇子どもを指導する人間である教員が、子どもに対して行うことが、子どもを傷つけてしまったとすれば、それは、指導上のことであろうがなかろうが、いったんは調査の対象とすべきです。
◇特に、今回のように、常軌を逸している場合(車の中で二人きりになるとか合宿中に深夜に部屋に呼び出すというような場合)、それだけで処罰の対象になるでしょう。そこで何があろうがなかろうが、子どもが訴えてきたのであれば、密室的な行為なのですから、セクハラ的な何か意図があったんだと疑ってかかって良いでしょう。
◇全国の教育関係者は、身内に対してもっと厳しく考えた方が良いです。いったん失った信用を回復するためには、徹底的に厳密になることです。
◇襟を正すだけではありません。一人ひとりが、教育という仕事の本当の意味を考えることです。教師という職業に求められている使命を一人ひとりが自覚して、子どもや社会と対峙していくことです。