[2012年8月14日]
もしも現代なおも人間に残されたなにかとりえがあるとすれば、それはせいぜい、みずからのこの劣等性を自覚化し得るという点だけであり、−この自覚化の徹底した作業をつうじてしか、現代人はみずからの存在を救抜することができないのである。(竹内 芳郎)
◇今回は、竹内芳郎に登場していただきました。彼の「文化の理論のために」や「意味への渇き」そして、「言語・その創造と解体」は、私に大きな影響を与えた本です。彼の文章を読んでいると、いつも熱くなりました。ホモ・ディメンス(錯乱人間)という自覚が、私たちには、重要なことなのだといつも意識しました。自己を相対化しようと試みました。
◇上の名言ですが、人間は、自分の劣等性を徹底的に自覚していくことを通して、今日的課題を解決していくことができるのだと言っているのです。
原発問題にしても、環境問題にしても、食糧問題にしても、私たちは、優秀性を根拠に解決を図るというよりも、劣等性を根拠に、解決を図ることです。
つまり、絶対に正しいという思い込みを捨てて、次善の策として、解することしかできないのだといつも頭において、物事を解決していくことです。
◇人間は、もう一度、自分自身を第三者の目で眺めてみましょう。動物として人間を見てみれば、面白いほど滑稽な存在だと思うでしょう。その滑稽さを自覚することから、私たちの救済が始まるのです。