[2009年11月16日]
■今やっている目の前の勉強以外は忘れなさい。
受験生の進路指導や勉強方法に関するカウンセリングを行っていますが、相談の中で多いのは「勉強に集中できない」というものです。
たとえば今、2学期の理科の勉強をしているのに、その前にやった1学期の理科の内容を忘れてしまったのではないかと気になって仕方がないと言う人がいます。でも今は2学期の理科をやらなければいけない時期だから、1学期の復習をしたりしてしまうと、時間がなくなるのは目に見えている。そうこうしているうちに他の宿題やら模擬試験なども始まって、何をどうしたらいいのかわからなくなり、勉強に手がつかなくなってしまうというものです。
そんなとき、私はこんなふうにアドバイスします。
「1学期の内容は忘れてかまわない。今は2学期の勉強に集中しなさい」と。
忘れていいことなどありうるのでしょうか。
でも事実なのです。堂々と忘れていいのです。
人間の頭が同時に記憶できる容量には、限度があります。今までやったことをすべて頭に入れておこうとしても無理に決まっています。
多くの受験生はすべてを記憶しておかなければいけないと思い込んでいますが、それは大きな誤解です。
今は忘れてもいい。あとでまた思い出せばいいだけの話であります。
そのために試験というのは、ある程度範囲が決まっているのです。試験日に合わせて、使うそのときに思い出せばいいのであって、使わないときもずっと、勉強の中身の隅々までを覚えている必要はないのです。
そう割り切ってしまえば、楽になると思います。
終わった勉強内容についてクヨクヨ悩むのは時間の無駄以外のなにものでもありません。仮に忘れてしまっても、それは後回しにして、今やるべきことに集中すればいいのです。
一度やったことは、忘れてしまったあともすぐ思い出せます。でも何もやっていないことを覚えるのには時間がかかるのです。だから、今やるべきことに集中して、新しいことを覚えた方がいいのです。
それを自分で納得するためにも、常に全体を見渡して、計画を立て、今やるべきことをきちんと把握しておくことが大切になってくるのです。
是非皆さんも、今なにをするべきかを見つめ直し、その上で、計画を立ててみてください。
そして安心して今やっていることに集中してください。