[2012年9月2日]
あの十年前のゆとり教育改革は、どこに行ったのか!
埼玉県内に広がる土曜授業 学習指導要領改訂で授業時間増
(2012年8月30日 朝日新聞)
○県内の小中学校で土曜日の授業を始める動きが広がっている。背景には、新しい学習指導要領で、小学校では昨年度から、中学校は今年度から授業時間が大幅に増えたことがある。県教育局によると、今年3月末調査で、今年度に土曜授業を実施する予定と回答した自治体(さいたま市を除く)は18市町村。年2〜10回と開きはあるが、13市町村では全小中学校で実施予定だった。
○幸手市は来年度から12小中学校で月1回実施する。昨年初当選した渡辺邦夫市長が市長選のマニフェストに掲げ、市教委も授業数確保について検討していた。これまで8月30、31日を授業日にして授業時間を確保していた。今年度からは土日に行事をした場合、振り替え休日を設けないなどし、実質的な土曜授業を年2回程度行うことにした。来年度からはさらに土曜日の半日授業を年間8回以上行う。ただ、家庭や地域との連携を意識し、授業参観や学校公開などの行事を中心とするように求める。また、時間数に余裕がある小学校では、日没の早い冬場の授業の振り替えに充てることもできるとした。
○市教委は、土曜授業について保護者と教職員に意向調査をした。保護者は小中学校とも約4割が賛成。しかし、教職員は小中学校ともに賛成は1割に満たず、「現状でよい」はいずれも8割を超えた。
○戸田幸男教育長は、この結果について、「完全週休2日制の定着に伴い、学校外での活動が盛んになっており、子どもの生活リズムを考えた結果ではないか」との見方を示した。
○渡辺市長は「県の学習状況調査では、幸手市の小中学生の学力は平均以下。地域として学力向上を見守りたい」と話している。
○自治体ごとに運用方法は異なる。
○狭山市は昨年度から、4月と8月を除く第2土曜日に3時間の授業を実施している。ただし学校の公開が前提で、授業公開をしたり、子どもの集会活動をしたりしているという。
○さいたま市は今年度から、長期休暇を4日減らし、少なくとも年1回は土曜授業をすることにした。市教委は「平日の授業時間を増やすと、部活や教師の研修の時間が圧迫される。ゆとりを残すため」と説明している。(今井由紀子、帯金真弓)
私のコメント
◇2002年の教育改革の目玉の一つは、学校5日制でした。ゆとり教育とは、すべての量の削減だと言わんばかりの改革でしたが、その象徴が、この学校の稼働日を減らして、教育だけではないことをするために、土曜日を休みにするということでした。
◇ゆとりをもって何かを学ぶと言うよりは、勉強ばかりではなく、違うことをするゆとりを確保することをゆとりだと定義したのです。裏には、学校の先生の週休2日制の確立があることは言うまでもないことですが、明らかに、ゆとりをはき違えた無理のある学校5日制だったのです。
◇だから、この2002年の教育改革を否定した新しい学習指導要領が実施されるようになれば、この学校5日制に関しても、明確な態度決定が必要なはずです。それを今回の記事のような折衷案とも妥協案ともわからないようなものでごまかしても仕方がないのではないでしょうか。
◇ここは、しっかり議論をして、日本の教育を間違った方向から明確に舵を切る必要があるのではないかと思います。どういう体制で、今度の学習指導要領を実行していき、どういう結果を残すのかをしっかり考えることが必要だと思います。