[2012年9月7日]
ユダヤ人差別を論じたものがほとんどすべてだめなのは、その筆者が自分だけはそんなものとは無縁だと心の中で決めてかかるからである。(オーウェル)
◇私たちは、自分を例外だと考えてしまう癖があります。「みんなはそうかもしれないが、自分は違う」式の発想をしてしまいがちです。
◇たとえば、上の名言のような差別問題を考えた時にも、そのことは当てはまります。人を差別してはいけない!と正論を吐きますが、なぜ、人が人を差別してしまうのかという本質を抜きにして、自分以外の他者を非難します。
本当は、自分にも当然のごとく差別的な意識があるのです。それを抜きにして、他人を攻めてみても何も解決にもなりません。なぜならば、そういう発想は、「君たちもこの俺のようになりたまえ」と言っているようなものだからです。そんな不遜な奴に誰もなりたくはないのです。
◇自分を当事者として考えて、いろいろなことを議論しましょう。自分だけがすべてを知っているというような態度では、議論は深まりません。自分の中の悪と戦う議論をすることからスタートすることです。