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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2012年12月2日]

2012年の出来事をチェック!

2012年の出来事をチェック! 

 気が付けば、2012年もあと1ヵ月、年が明けると入試本番まではあっというまです。そこで、時事問題対策として2012年の重大な出来事について振り返ってみました。今回は、理科的な分野に関係するものです。

? 山中伸弥 さん ノーベル医学・生理学賞 を受賞

 スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月8日、2012年のノーベル医学・生理学賞を、あらゆる細胞に分化する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授に授与すると発表した。患者自身の細胞を移植して病気やけがを治療する「再生医療」への道を開いた功績が評価された。受賞式は12月10日にストックホルムで行われる。

ノーベル生理学・医学賞(ノーベルせいりがく・いがくしょう)

 ノーベル賞6部門のうちの1つ。「(動物)生理学及び医学の分野で最も重要な発見を行なった」人に与えられる。選考はカロリンスカ研究所のノーベル賞委員会が行う。

IPS細胞とは

 IPS細胞は、神経や筋肉などいろいろな体の部分になることができる細胞で万能細胞とよばれている。

 例えば、病気で内臓が悪い人がいたとする。その人の皮膚から細胞を取り出してiPS細胞にすれば、それを内臓の細胞に成長させることができる。悪くなった内臓の細胞を、iPS細胞でつくった細胞と手術で取りかえれば、病気を治せることになる。現状では、病気で内臓が悪い人は、ほかの健康な人の内臓をもらう移植手術をする場合が多いが、ほかの人の内臓がその人に合わなかったり(拒絶反応)、もともと健康な内臓をわけてくれる人がそんなにいるわけではない。しかし、iPS細胞は、もともと自分の細胞だから合わないことはないし、いつでもほしい体の部分の細胞を作り出すことができることになる。

 生物は、最初は1つの細胞であったものがどんどん分裂していき、それが手足や内臓などになって、体が形作られる。つまり、最初はいろいろなものになる可能性を持った細胞だった。そこで、皮ふの細胞を取り出して、その細胞がまだいろいろなものになる可能性があったときのような状態にもどすことのできる遺伝子を山中教授は探した。その結果、4つの遺伝子が発見され、それらを皮膚の細胞に入れることで、いろいろな体の部分になることができるiPS細胞ができた。
 
 現在、マウスを使った実験には成功している。マウスのしっぽの皮ふ細胞をiPS細胞にして、マウスの体に入れて成長させたら、神経や消化管組織、やわらかい骨が入りまじったかたまりに成長し、さらにはピクピク動く心臓の筋肉や神経の細胞にも変化したそうだ。そして、人間の皮ふからもマウスのものと同じようなiPS細胞をつくることにも成功している。
ただし、iPS細胞を使って、安全に人間の病気やけがを治すためには、欲しい体の部分にきちんと成長させたり、勝手に成長しないようにしたりする方法などをしっかりと調べる必要がある。安全面での課題はまだまだ多く研究の途中ではあるが、将来、病気やけがでつらい生活をしている多くの人々が助かる可能性が見えてくる!

 「iPS細胞」という名前は山中教授自身が命名したもので、最初を小文字の「i」にしたのは、アップルの携帯音楽プレーヤーである『iPod』のように普及してほしいとの願いが込められているそうだ。

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? 5月21日に 金環日食 があった。 

 地球から見たときに太陽が月の影に隠れ、一部または全体が見えなくなる日食のうち、月が太陽を完全に覆い隠せないために月の外側(周囲)に太陽がはみ出し、環状(光輪状、リング状)に見える場合を金環日食、または金環食と呼ぶ。

 環状とは皆既日食で見られるコロナとは異なり、月により隠された部分は見えなくなるが、月の周囲にはみ出している太陽が光の輪っかのように観測できる状態である。これは「太陽→月→地球」の位置関係で綺麗に並んではいるが、地球から見たときに太陽より月の方が少し小さく見える距離(月および地球の楕円軌道によって地球から月が遠地点となる)にあるために起こる。(逆に皆既日食は、地球から見て太陽より月の方が少し大きく見える距離にあるため全体が隠される。)

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? 7月14日に 木星食 、8月14日に 金星食 があった。

 月が太陽を隠すことを日食と言うが、月が星を隠す月が星を隠すこともある。これを「星食」と呼んでいる。とくに惑星を隠す惑星食は珍しい現象であり、その惑星食を、今年は2回も日本で見ることができた。

・金星食 ・・・ 月が金星の前を横切って金星を隠してしまう現象。今回は月の明るい側から金星がもぐりこみ,暗い側から出てくる形になった。

・木星食 ・・・ 金星食と同様に月が運行の過程で背景にある木星を隠す現象。今回の木星食は昼間の現象で、実際の観察には望遠鏡が必須であった。

 今年は天体ショーが多く観られた年でした。このような時事ニュースとからめるとしたら、天体に関する問題は出題の可能性が高いかも!

宇宙関連ではたくさんのニュースがありました。

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? 7月に 星出彰彦 さんと「こうのとり」3号機 が相次いで宇宙へ

 7月15日、日本人宇宙飛行士・星出明彦さんがロシアのソユーズ宇宙船で、国際宇宙ステーション(ISS)に向け、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。
 続く7月21日には宇宙ステーション補給機「こうのとり」が鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。こうのとりによる物資補給は、ISSの日本実験棟「きぼう」を米スペースシャトルで打ち上げた見返りとして日本が果たす義務で、年1基ずつ計7回の打ち上げが決まっている。今回が3回目だ。
 「こうのとり」は7月28日午前2時31分(日本時間)、ISSへのドッキングを完了した。滞在中の星出さんが日本人として初めてこうのとりの結合作業に参加し、無事に成功した。

 こうのとりは大型バスに匹敵する大きさで約4、6トンの物資を搭載。ISS日本実験棟「きぼう」でメダカなどを飼育する水槽や、きぼうから放出する日米の超小型衛星5基のほか、星出さんら滞在飛行士の食料や日用品などを運んだ。その後は不用品を積んで離脱、大気圏に再突入して燃え尽きた。再突入時には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが開発したデータ収集装置で機体が壊れる様子が撮影された。これは、将来の有人宇宙船につながる帰還カプセルの開発に役立てられるそうだ。

 星出さんは、4年前スペースシャトル「ディスカバリー号」に乗り込み、ISSに「きぼう」日本実験棟を取り付ける重要な任務を果たした。2度目となる今回はISSに長期滞在し、メダカを用いた生命科学実験やISSから小型衛星を放出する技術実証などを行った。実験の結果は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページで見ることができる。星出さんは11月19日にISSから分離し、地球へ無事帰還した。

 宇宙空間の「きぼう」/国際宇宙ステーション(ISS)は、サッカー場く  らいの大きさがある。条件がそろえば、日の出前と日没後の2時間ほどの間に地上から肉眼で見ることができる。目
視予想情報も宇宙航空研究開発機構(JAXA)のホームページで見ることができる。ISSを探してみよう。

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? 火星探査機キュリオシティが火星に降り立つ。 

 8月6日には、NASAが打ち上げた火星探査機キュリオシティが火星に降り立った。キュリオシティは、火星表面の土と岩石をすくい取り、内部を解析している。最低でも、1火星年(2.2地球年)は活動する予定で、過去と現在の火星における、生命を保持できる可能性について調査している。