[2012年12月9日]
学力向上が、重要なことではない!
重要なことは、学力向上を成し遂げるプロセスだ!
北海道教委が全国学力調査結果発表 9教科で平均下回る
(2012年11月27日 朝日新聞)
○道教育委員会は26日、文部科学省の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)に参加した全学校の集計結果を発表した。小中合わせて10教科のうち、中学校「国語B」(応用問題)では初めて全国平均を上回ったものの、その他の教科では依然として全国平均を下回り、正答率の低い児童生徒の割合が多い実態も明らかになった。
○調査は小学6年生と中学3年生を対象に4月に実施。札幌市は抽出校のみ、それ以外の市町村は全公立小中、特別支援学校が参加し、計1559校の6万6895人がテストを受けた。
○中学国語Bは全国平均を0.4ポイント上回ったが、それ以外の9教科は全国平均を下回り、小学校算数A・Bは全国平均に比べいずれもマイナス4.6ポイントと最も差が大きかった。ただ、東日本大震災の影響で全国調査が見送られた2011年度を除き、10年度と比較すると、中学校国語Aを除き全国との差が縮小する傾向もみられた。
○今回の結果をみて、道教委が特に課題としたのが、正答率の低い子どもの多さだった。小学校国語Aでみると、全17問中正答数が12問以下の児童の割合が全国平均で24.9%なのに対し、道内は34.0%。他の教科でも正答率の低い子どもの多さが道内では目立つといい、その割合は全国平均に比べると小学校で3.6〜9.1ポイント、中学校で0.6〜3.5ポイント、それぞれ高くなっている。
○調査の結果を道内14地域別にみると、各教科の平均正答率が最も高かった管内と低かった管内の差は、小学校が5.8〜8.4ポイント(11年度3.7〜9.1ポイント)、中学校で4.6〜8.0ポイント(同4.2〜7.9ポイント)と、わずかながら縮小傾向が見られた。全国平均と地域別の結果の比較では、小学校理科で留萌、中学校国語Bで上川、石狩、十勝、オホーツク、留萌、空知、檜山、同理科で石狩がそれぞれ全国平均を上回った。
○児童生徒の学力向上を喫緊の課題にあげる道教委は、14年度までに全国平均以上に引き上げる目標を掲げ、具体的な施策に取り組んでいる。道教委は「改善の兆しは見えるものの、正答率が低い児童が多い状況など課題は多い。学校だけでなく、家庭や地域と連携しながらきめ細かな支援をしていきたい」としている。(芳垣文子)
私のコメント
◇学力問題が、教育問題そのものになってしまって、もう随分と経ちます。学力を向上させることが、教育の目的のようになってしまいましたが、教育の目的は、社会人として子どもを大人にすることにあります。だから、学力向上を成し遂げるのが目的というよりも、学習指導を行うことを通して、子どもたちが、自分の目の前の課題にしっかり取り組めるような態度を身につけることが、重要な目的なのです。
◇この点を教育委員会も自覚しておいてほしいと思います。だから、全国学力テストの対策をするのではなく、読書の習慣を身につけるとか、宿題をしっかりやってくるような学習習慣を身につけるとか、子どもたちが、自主的に集団を組織できるような機会を作るとか、社会的な場面をどんどん体験させて、人間関係の在り方を学べるようにするとか、そういう工夫の中で私たちは、子どもたちの学力向上を結果的に成し遂げていくことです。
◇私たちが、考えなければならないことは、ただ単に学力が向上していけば良いと言うことではなく、社会的な場面で、習った知識を活用でき、現実的な対応を子どもたちが、出来るようにしていくことです。そのために、学校で何ができるかを問うことです。テスト結果=学力の向上を主眼にして、色々と対策を講じるのではないことを明確にしておくことです。そうしないと、学力という一元的な価値を追いかける学力忠誠競争に参加するだけになってしまいます。そんな競争は、全く意味がありません。なぜならば、学力競争レースをして、人生を終えるわけではないからです。ぜひ、もう一度、教育について徹底的に考えてほしいものです。教育は、学力忠誠競争の場ではないのです。