[2013年5月6日]
岡山の中学・高校受験の塾
教育時事ニュース
☆キラキラネームの増加で「名前の3分の1も読めない」と教師
「し水」「中の」「わた辺」…いったい何と書いてあるのかと思いきや、これらは小学生たちが書いた自分の名前だ。「習っていない漢字は平仮名で」──そんな学習指導要領に“縛られた”結果である。
平仮名と漢字を交えて名前を表記することを「交ぜ書き」というが、このような表記の仕方がうまれた背景には、当て字など、読み方がわからない名前が増えていることもあるようだ。
明治安田生命の「名前ランキング」によると、2011年生まれの子供で、いちばん多かった名前は「陽菜(ひな)」と「結愛(ゆあ)」。5位には「心愛(ここあ)」と芦田愛菜(7才)と同じ「愛菜(まな)」がはいった。いずれも当て字を使った名前だ。
また、「希星(きらら)」「来桜(らら)」「絆星(きら)」「月(あかり)」など、いわゆる“キラキラネーム”といわれる難読の名前も増えており、「天響(てぃな)」など、ルビをふってもらわなければ、とうてい読めないような名前も多い。
それだけに、「みんなが読めないから」という理由で、漢字を使わせない現場の事情もわからないではない。ある小学校教諭は、こう本音を漏らす。
「英語読みをさせたり、大人も読めないような難解な漢字を使ったり。子供は誰も読めませんよ。正直いって、私でも新入生の名前の3分の1は読めません」
いまの流れが続けば、いずれは「当て字」の名前のほうが多くなる可能性もありそうだ。埼玉県在住の主婦がいう。
「小1の娘にこういわれました。『名前を書くときは平仮名じゃないといけないんだよ。だって、落とし物を拾っても誰のだかわからなくて、届けられないから。いちいち先生に聞きに行かなきゃいけないじゃん』って。確かに…と納得してしまいました」
だが、交ぜ書きすることで、かえって名前が読みにくくなってしまうケースもあるようだ。
「同じクラスに『咲心』と書いてクミちゃんと呼ぶ子がいるんですが、2年生でまだ『咲』の字を習っていないから、展示物には『く心』と書いてある。“えっ? クシン(苦心)ちゃん?”と読み間違える親御さんも多いんです。『桜空』と書くサラちゃんは、展示物には『さ空』ちゃん。かえってわかりにくいと思うんですが…」(34才・主婦・神奈川県)
ある小学校の教師は、こういい切った。
「フリガナをふればいいだけの話で、漢字を書かせない理由にはならないはずです」
交ぜ書き問題に警鐘を鳴らす立命館小学校副校長の陰山英男さんは「書いてもいい」からさらに一歩進んで、「書かせるべき」という立場を取る。
「たしかに、いまは当て字が多いので、初めて目にするとどう読むのかわからない名前もあります。でも、読めないならその場で教えればいいし、子供同士で教え合ってもいい。当て字であろうが、漢字でつけられたものであれば、漢字で書かれたのが本当の名前。相手を尊重するという意味でも、その漢字を読めるようにすべきです」(陰山さん)
そのうえで、こう続ける。
「1年生のうちは漢字で書くことが難しいこともあります。しかし、2年生になったら漢字で書かせるべきです。あまり知られていないかもしれませんが、低学年の『生活科』の授業では、自分の名前の由来を学習する時間があります。親がどんな思いで子供の名前をつけたのか。それを知ることで、自分の名前を大切にしようというのが狙いです。教師が名前を漢字で書かせないのは、こうした名前の指導をしていないということにほかなりません」
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☆「習ってない漢字使うな」指導で自分の名前を書けない子供も
<最近、自分の名前であっても学校で習ってない漢字を使ってはならないと先生が指導するという。おかしい。だって名前の漢字はすべて学校で習うとは限らない。ならばいつまでも自分の名前は漢字で書けない。名前は親が指導し、学校では友達の名前を読めるように指導すべきと思う>
立命館小学校副校長で大阪府教育委員も務める陰山英男さんがツイッターに書き込んだつぶやきが、大きな議論に発展している。あまりの反響の大きさに、陰山さん自身驚いているようだ。
「ツイッターでは、大阪府の教育基本条例の問題なども取り上げているのですが、漢字と名前の問題の反響はそれよりはるかに大きいものでした。あまりにも多数の声が次々に届くので、何かの間違いではないかと思ったくらいです」
反響の理由を、陰山さんはこう分析した。
「保護者の声で最も多かったのは、書ける漢字を書かせないという“ブレーキをかけること”への反発でした。この問題に保護者がここまで熱くなっている背景には、学校への不信があります。これまで教師がよかれと思って指導してきたことが、保護者目線で見るとズレていることがあるんです」
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「漢字と名前」問題が浮き彫りにした、いまの学校教育の問題とは──
例えば「陰山英男」さんが新入生として小学校に入学したとしよう。最初は漢字を習っていないので、すべて平仮名で「かげやまひでお」。1年生のうちに「山」と「男」を習うので「かげ山ひで男」と書くよう指導される。4年生になると「英」の字を習い「かげ山英男」と書くが、「陰」の字は小学校卒業まで書かないことになる。これが名前の「交ぜ書き」だ。
ツイッターで指摘しているとおり、子供が漢字で自分の名前を書けるにもかかわらず、「平仮名に直せ」と指導されるケースが少なくないことがわかった。つまり、子供は「陰山英男」と書けるにもかかわらず、「かげ山」と書きなさいと教えられていたのだ。東京都在住のAさん(44才・主婦)がいう。
「子供には“小学校に上がる前に漢字で名前が書けるように”と漢字を覚えさせ、子供も名前を漢字で書けるようになったことで自信がついたのか、学校に行くのを楽しみにしていました。ところがある日、『習ってない漢字は平仮名で書かなきゃダメなんだって』とションボリして帰ってきたんです。思わず“ダメってどういうこと? 自分の名前なのになんで漢字で書いちゃいけないの?”と声を荒らげてしまいました」
さらに、学校や教師によって漢字がOKだったりNGだったりすることで、ますます混乱してしまう子供や保護者もいる。
「うちの名字は『清水』で、息子は全部漢字で書けます。でも2年生で習っているのは『水』の字だけなので、それに従うと『し水』と書かなければいけないことになる。担任の先生は息子が名前を漢字で書いても『平仮名に直しなさい』とはいわないそうですが、書写の先生には『平仮名に直しなさい』といわれてかなり戸惑っていました。
最近では先生の顔色を見ながら『清水』『し水』を書き分けているようですが、どうして子供がそんな気を使わなくちゃいけないのか。せめて学校内で統一してほしい」(39才・主婦・東京都)
※女性セブン2012年3月15日号
確かに多くなった名前の当て字、みなさんはどう思われますか?