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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2013年5月26日]

教師のふるう暴力と指導としての体罰を明確に分けて議論するべき

岡山の中学・高校受験の塾

教師のふるう暴力と教師の行う指導としての体罰を明確に分けて議論するべきだ!


長崎県内小中高校の体罰506件 再調査で大幅増
【読売新聞5月3日】


○長崎県と県教委は2日、昨年度に県内の小中高校で児童・生徒983人に対する体罰が506件あり、64人がけがを負っていたとの調査結果を公表した。

県などは3月に体罰件数は35件とする1次調査結果を発表していたが、再調査で大幅に増えた。
 

○調査は文部科学省の指示で、今年1月から県内の公立、私立の計649校を対象に実施した。1次調査は1月末までに起きた体罰のうち、教職員が懲戒処分や訓告を受けたケースを集計。計35件の体罰が確認され、けがを負ったのは8人としていた。
 

○2次調査では、教職員や児童・生徒、保護者に実施したアンケートの結果や、県や県教委に報告が上がらない校長指導で終わった体罰もカウント。

その結果、発生件数は公立学校が449件(小学156件、中学213件、高校80件)、私立学校は57件(中学6件、高校51件)に上った。
 

○内容は「素手で殴る」が最多の362件、「棒などで殴る」が16件、「投げる・転倒させる」が9件と続いた。生活指導や部活で頭や顔を平手打ちしたというケースが多く、児童・生徒が打撲したり、鼓膜を損傷したりしたケースもあった。
 

○県教委の中川幸久教育次長は「指導と体罰は別物であり、正当化できない。
体罰のない指導法を記したガイドラインを今月中に各校に配布し、研修で意識改革を図っていく」と話した。





コメント
◇大阪の桜宮高校から発した体罰問題は、日本の教育界に大きな衝撃を与えたものでした。私が思うに、あの事件は、教育における体罰問題というよりも学校の中で起こった一教師の暴力問題であるのではないかと思います。

以前にも書きましたが、一教師の異常な行為だと思うのです。ですから、何で学校でこういう事態が起こるのか、なぜ、そういう異常な行為を止められないのか、と問題視することに私も異議はありませんが、あの事件を教師における体罰問題全般に拡大して、捉えてはいけないように思うのです。



◇つまり、桜宮高校の教師と同じように、生徒に対する暴力を恒常的に行っている教師が日本の学校には一杯いるはずだ!という論調になってはいけないのです。また、そういう教師の行為(生徒に対する一方的な暴力行為)をすべて体罰だとまとめてしまってはいけないのです。常態的な暴力行為は、体罰ではありません。

それを体罰だと認識してはいけないように思います。教育場面における暴力は、私も反対です。しかし、教師の威嚇的な行為(怒鳴りつける、黒板や机を叩く等)を含めて、体罰は絶対行ってはいけないということになれば、教師の指導のスキルが優れていない場合に、非常に指導が難しくなってしまうのではないでしょうか。

そして、いじめ問題と同じように、学校による隠ぺいが行われる可能性がどんどん多くなっていくように思います。また、逆に、ちょっとしたことで、生徒や保護者が、体罰だと主張して、教育的な行為が、どんどん縮小していってしまう可能性もあると思います。つまり、生徒や保護者による体罰の拡大解釈による教師への不服従の風土です。


◇私たちが、問題にしなければならないのは、指導という名を借りた教師の暴力行為を学校から追放することで、教育的な制裁措置のすべてを追放することではないはずです。そして、暴力行為と指導場面における体罰の是非の問題を明確に分けて、議論することです。そうしないと、現場の教師が、どんどん指導しづらい状況になり、どんどん教育から指導が消えていってしまうことになります。何のための体罰議論かをみんなで考えてみてください。
教育のない学校になって、子どもたちが将来苦しむことになってしまいます。



                                (マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 中土井鉄信氏 作)