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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2013年7月27日]

教育相談室

岡山の中学・高校受験の塾

教育相談室

Question1 子どものプリントが多すぎてぐちゃぐちゃです

 ※整理整頓が苦手で、学校のお便りや授業で使うプリントがぐちゃぐちゃです。おまけに塾のプリントも多くて何が何だかわからなくなっています。ランドセルの底にプリントがたまっています。

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Answer
こういう子はたくさんいますね。特に高学年になると、授業で使うプリントも増えますし、それ以外にも委員会活動・クラブ・行事などのプリント類も増えます。また、塾によってはプリントを中心に学習を進めるところもありますので、さらに増えることになります。
  そして、これが中学生になると、またそれ以上に増えることになります。まさに、紙との戦いといった感じですが、これは高度情報化社会である現代を反映しているのです。ですから、プリントや書類などを適切に管理していく能力を育てていくことは現代の子どもたちにとって大切なことと言えます。
  でも、これが苦手な子に向かって、「ちゃんとやりなさい」と口で言うだけでは絶対にできるようになりません。その子に応じた親の適切な手助けが求められます。
  苦手な子の場合は、合理的な工夫をして子どもが少しでもやりやすいようにしてあげることが大切です。その方法をいくつか紹介していきます。
 たとえば、子どもたちに色の違う2種類のクリアファイルを持たせます。一つは「しばらくファイル」で、もう一つは「毎日ファイル」です。
  「しばらくファイル」には、しばらくの間いつも持っている必要のあるプリントを入れます。 たとえば、歴史の授業で使う戦国時代の資料、朝の歌の歌詞、係活動のチェック表、運動会の練習スケジュールなどです。
  「毎日ファイル」には、家に置いてくるプリント、家で親に渡すプリント、学校で先生に提出するプリントなどを入れます。たとえば、学校便り、PTAアンケート、宿題のプリント、戻ってきたテストなどです。ですから、このファイルの中は毎日必ず空になるわけです。
  「しばらくファイル」に入れてあった戦国時代の資料も、その勉強が終われば「毎日ファイル」に入れて家に置いてきます。

  1年生でも6年生でも、中学生でも、必ずこの二つのファイルを持たせます。各ご家庭でも子 どもたちのプリント管理については大いに頭を悩ませているのではないかと思います。
  一つのファイルしか持たせていなかったら、管理が苦手な子は、家に置いてくるべきものをいつまでも持っていたり、逆に授業などで必要なプリントは家に置いてきたりということが頻発します。
 この二つに分けたら、かなり改善されるのではないかと思います。

  ところで、「しばらくファイル」のほうはクリアファイルでなくてクリアポケットファイルを 使ってもよいと思います。これは、透明のポケットがたくさんついていて、その中にプリントを一枚ずつ入れられるファイルです。これなら必要なときに目的のプリントを見つけやすいと思います。
  ただ、いちいちポケットを開いてその中に入れるのは少し面倒です。それに、けっこう重いということもあります。
  なお、どのファイルを使うにしても、プリントを折りたたむときは文字が書かれている面を表に出してたたむように教えてください。そうでないと、プリントを探すとき一枚一枚開いて見なければなりません。

  さて、家においてはどのようにしたらよいでしょうか?
 ぜひ、子どものプリントを処理するシステムと環境を作っておくことをおすすめします。親子で一緒に考えてもよいですし、あるいは親が作ってあげてもよいので、とにかくその子に応じた合理的な工夫をしてください。

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 次のように流れを決めておくとよいでしょう。

 1.帰宅したらプリント類はすべて親に渡す。
 2.親がすべて目をとおして、親用のもので必要なものは親が保管し、不要なものは捨てる。
 3.親用のもので、学校に提出するものは「毎日ファイル」に入れる。
 4.子ども用のもので、しばらく使うものは「しばらくファイル」に入れる。
 5.子ども用のもので、学校に提出するものは「毎日ファイル」に入れる。
 6.子ども用のもので、不要なものは捨てる。
 7.子ども用のもので、今は要らないが一応保存しておいたほうが良いものは保存箱に入れておく。

  1については、子どもが自らすすんで親に渡すのが理想です。それができたらほめてあげましょう。なかなかできない場合は、「うがい → 手洗い → 給食セットを流しへ → プリントを渡す」などのように帰宅したらやるべきことをホワイトボードなどに書いておきましょう。 それでもできない場合は、親が「はい、プリント出して」と言って出させればよいでしょう。このとき、「また、あなたは自分で出さなくて、どうのこうの……」と小言を言っても、それで 改善するということは決してありません。どうせ言うなら明るく優しく言ってあげてください。
  4、5、6、7についても自分でやるのが理想ですが、できない場合は助けてあげてください。
 また、5については、管理力がある子の場合は教科別や種類別に分けて保存することも可能です。
 でも、そうでない場合はあまり細かく分けないほうが無難でしょう。
 また、管理力がある子の場合は、1で親に渡すプリントも「すべて」ということでなく「親に渡す必要があるもの」とすることもできます。要はその子の実情に応じるということです。

  これらは毎日のことですが、子どものプリント類を親が定期的にチェックすることも必要です。毎週金曜日、あるいは毎月の最終日などと決めて、カレンダーなどに書いておきましょう。 管理が苦手な子の場合、定期的に確認しないと「しばらくファイル」に不要なものが溜まって分厚くなってしまいます。

  さて、書き忘れていましたが、プリントの管理がすごく苦手という場合に簡単ですぐできる有効な方法がもう一つあります。
  それは玄関に大きな箱を置くことです。
 カバンが二つくらい入る箱で、深さはあまり深くなくせいぜい15センチくらいです。学校から帰ってきたら、取り敢えずカバンの中身を全部この箱に出します。カバンの中でプリントがくしゃくしゃになっていたとしても、箱に出すことによって目に見える状態になります。つまり、子どもにとっても親にとっても目に見える状態です。親に渡すにしても捨てるにしても、あるいはまた学校に持って行くにしても、ここで仕分けることができます。
  これはとても簡単な方法ですが、けっこう効果があります。

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Question2   テレビのせいで宿題がはかどりません

※うちの子はテレビが大好きで、毎日何かしら見たいテレビ番組があって、宿題に集中できません。しかも、日によって見たい番組の時間帯が違うので宿題を始める時間を揃えることができません。それに、見たい番組を見てから眠いのをこらえて宿題をやるので、寝るのが11時過ぎになることもあります。

 Answer
  テレビのせいで宿題がはかどらないという話は本当によく聞きます。ところが、テレビの見方について何らかのルールを決めている家は意外と少ないのです。ましてや、ルールを明文化して張り出すなど、守るための工夫をしている家は極めて少数です。
  困る困ると言いながら、親が毎日思いついたことをガミガミ言うだけという付け焼き刃的な対応が多いのです。本当に問題を解決したいと思ったら、やはりルールを決めることが大切だと思います。

 たとえば、次のようなルールが考えられます。
  ●1日または1週間の上限時間を決めておく
  ・テレビとゲームを合わせて1日○時間まで
  ・1週間に○時間まで
  ・土日は特別に○時間まで
  ・親も同じように上限時間をつくる

  ●計画的に見るためのルール
  ・週間テレビ番組表で見たいものにあらかじめ赤丸をつける
  ・見たい番組は録画してから見るようにする
  ・親も同じように計画的に見る

  ●テレビの消し方
  ・見たい番組が終わったら5秒以内に必ず消す
  ・勉強しながら、食事しながら、カバンの仕度をしながら、などの『ながら見』はしない
  ・親も同じようにこれを守る

  ●見るための条件
  ・宿題は夕食前に済ませる
  ・お手伝いが終わったら見る
  ・録画しておいて、宿題が終わったら見るという一種のニンジンにする

  ●ルールを守るための工夫
  ・ルールが守れたら○、守れなかったら×をつける
  ・親も同じようにチェック表をつける
  ・チケット方式にして、テレビを見るときはチケットと引き替えにする(※参照)
  ・ルールは毎週見直す

  ※チケット方式
   たとえば1週間に14時間と決めたら、週のはじめに子どもに30分券を28枚渡す。
  テレビを見るときはこの券と引き替えに見ることにする。
  残り時間が目に見えるようになるので抑制が働くようになる。

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   以上、いくつか羅列しましたが、これらはあくまでも参考例に過ぎません。
  我が家の、そして我が子の実情に合わせて、必要なことを決めることが大切なのです。

   ところで、「うちはルールを決めているのに一向に守られない」という話もよく聞きます。こういう場合、親が一方的に無理なルールを押しつけていることが多いのです。実効性のあるルールにしていくためには、ルールを決めるプロセスが本当に大切なのです。でも、多くの親がこの点を理解していないように思います。
   私は、ここに指導がうまくいかない第一の根本原因があると思います。
  ルールを決めるプロセスに子ども自身が関わって、その結果子ども自身が「自分の意見も十分聞いてもらえた」「納得できるルールができた。よしこれからしっかり守るぞ」と思えるようにしていくことが大切です。
   もちろんこれは理想ですが、少しでもこういう状態に近づける努力は絶対に必要です。
  ルールを決めた時点で既に子どもが「こんなルール嫌だな。なんでこんなの守らなきゃならないの」と思っているとしたら、その後も自主的に守ろうとするはずがありません。守らせるためにまたガミガミ言うことになり、同じことの繰り返しになるだけです。
   ですから、まずは子どもの言い分を共感的に聞いてあげ、そのうえで親の意見も伝えてください。そして、親子で十分話し合いながら、お互いが納得できるルールをつくるのです。この話し合いの過程が大切なのだということを理解してください。

   また、子どもに自制を要求する以上は親も同程度の自制を約束することも必要です。子どもにはテレビの上限時間を設けておいて、親はいくらでも見放題というのでは理不尽です。
   でも、多くの親がこの点も理解していないように思います。私は、ここに指導がうまくいかない第二の根本原因があると思います。
   そして、つくったルールはホワイトボードなどに明文化して目に見えるようにしておくことも必要です。これがないと、いつの間にかいい加減になってしまいます。
   それと、ルールというものは何でもそうですが、実際に始めてみると現実に合わない点が出てくるものです。そこをそのままいい加減にしておくと、すべてがいい加減になってしまいます。ですから、そういうところは再度話し合って見直し、改めて明文化していくことも大切です。

   ところで、私は、先ほど指導がうまくいかない根本原因を二つ挙げました。
  一つは、ルールを決めるプロセスが大切だということを理解していないということです。もう一つは、親も子どもと同程度の自制が必要だということを理解していないということです。
   これについて少し付け加えます。
  今回はテレビのことでしたが、これ以外にも、ゲーム・お手伝い・勉強・言葉遣い・生活習慣などいろいろな面で同じ問題があります。
  これらの中の一つのことがうまくいっている家庭は、ほかのこともうまくいっていることが多いのです。なぜかというと、どの指導においても同じように根本原因の二つの点をクリアしているからです。
   納得ずくでないルールを子どもだけに一方的に押しつけていると、どの指導もうまくいきません。どれもうまくいかない家庭は、そこにこそ原因があるのです(簡単な例を挙げれば、「勉強しなさい」と言う親に限って親自身が勉強も読書も知的作業もしていないことが多いのです)。
   もちろん、親が異常なほどの厳罰主義で子どもが罰や恐怖によって支配されているというなら可能かもしれません。でも、これでは弊害が多すぎます。親への恐怖心は他者一般への恐怖心につながり、人間不信になります。また、無力な自分に対する不信感、つまり自己無力感を持つようになります。
   人間の土台をつくるべき子ども時代に、このようなものを植え付けられて良いはずがありません。