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加藤学習塾
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[2013年7月29日]

教育ニュース

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「中1ギャップ」、中学生の保護者の過半数は知らないが思い当たるフシはある

 あなたは「中1ギャップ」という言葉を聞いたことがありますか? 中1ギャップとは小学生が新中1生となったときに、学校生活や授業のやり方が今までとまったく違うため、新しい環境(学習・生活・人間関係)になじめないことから不登校となったり、いじめが急増したりするなどいろいろな問題が出てくる現象のことです。
こういった現象について、中学生のお子さまを持つ保護者のかたはどのように見ているのでしょうか。

※中1ギャップという言葉は中学生の保護者の過半数が「聞いたことがない」と回答

【図1 「中1ギャップ」という言葉の意味をどのくらいご存じですか?】 

まず、「中1ギャップ」という言葉の意味についてどのくらいのかたが知っているのか伺ってみました。すると、言葉自体を聞いたことがあるかたは半数以下。そして、言葉の意味まで知っていると答えたかたは3割以下でした(図1)。しかし、想像するにどういう意味だと思いますか?
とお聞きすると、「環境がかわってなじめないこと」「小学校の感覚が抜けない」「中1と小学6年生との生活スタイルの違い」などという回答が集まり、(ああ、このことかな?)と容易に想像はつくようです。
 お子さまが中学校に入学した際、多かれ少なかれ「中学校は違う」と保護者のかたが感じていたということが言えるでしょう。
 具体的にどういった点が異なるのか、どういった理由で子どもたちが小学校と中学校の差を感じて中にはなじめない子が出てくるのかお聞きしてみたところ、保護者の目から見た「中学生」「中学校」というものが浮かび上がってきます。
勉強面では、早く・厳しく・明確に結果が出てくることが原因?

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●英語が入ってくる・教科担任制になる・定期テストがある・定期テストで順位が出るからでは?
 これらの点は、たくさんの保護者の方の意見が見られます。小学校でも英語の授業はあるものの、中学校では文法を習いますし、テストの点数や成績もつくのです。そして教科ごとに先生が異なるため、授業の進め方やノートのとり方もそれぞれ違いますから、それらに慣れることも必要です。「先生待ってー黒板まだ消さないでー」は中学校では通用しないということでしょう。

●それまでは友達との学力差などが見えないし、感じられなかったが、突然数字化され、順位などが出て自分の実力を知り驚いてしまうのではないか?
 学校によって違いはありますが、定期テストの点数がしっかりつき、そのほかの観点別評価も加わってそれが公立高校入試の合否判定に用いられる内申点に直結する、という地域がたくさんあります。小学校の通知表では「よくできている」「うちの子はできるほうだ」と思っていたところが、定期テストで想像に及ばない結果や順位を知り、ショックを受けるということも少なくありません。

●公立中学校の場合、小学校へ「ここまではきちんとした学習を身につけておいてください」とのお達しがあると聞きました。けれどそれは学校任せのことではなく、家庭でもきちんと確認していかなければならないことだと思います。子どものそのような状況に気付かない親もいるのが問題なのではないのでしょうか?
 もう中学生になるんだし、ということで勉強のことは細かくは確認せず、学校の勉強も校外学習もお子さま自身に任せて手を離します、というご家庭が増えるのが進級時期でしょう。しかし、小学校から中学校へ変わる時期は小学校段階の総仕上げとも言える時期。苦手が残っていないか、得意なことは何か、学習習慣はどの程度身についているのかというポイントが具体的にわからないと、中学校で困ったことがあっても子どもの相談にも乗れませんし、子どもも保護者に相談しづらいでしょう。思春期・反抗期でもありますから「どうせお母さんはわからないでしょ!」「お父さんは知らないくせに」となるわけです。

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●中学校に入り、急に授業の進度が速くなるような気がすること。教師側も中学生になったのだから、と自立して自主的な学習を求められること。成績が中間、期末考査で順位が出されることが原因としてある、と思います
 中学校では小学校ほどはあれやこれやと手を出すことはしませんし、基本的に自主的に勉強する姿勢を求めます。具体的には「わかるかな?」と先生が声をかけてくれるのを期待する・待つのではなく、自分から「先生、ここがわかりません」と先生に質問に行くことが求められるということです。

※心身の成長が著しい一方で忙しく、自由度の減る学校生活が疲れやストレスに?

●毎日制服を着て通い、常に校則が厳然とあり、部活動では厳しい練習・怖い先輩もいる。すべてにおいて優しく守られていた小学校生活と、急に「自立」を求められる中学校生活には、かなりの違いを感じると思う。それらを嬉しく思う子と、違和感のある子とに分かれるのではないか
「自分でなんとかする」場面が増える中学校。校則が増え、先輩との上下関係で守るべきルールなども増えます。小学校までの自由さがなくなり「え、こんなことまで細かく決めるの?」と感じる子もいるでしょう。今までなかった緊張のなか、自分で考えて行動する場面が増えて「どうしたら良いのかがわからない」ことがストレスになるということでしょう。

●登校手段の違いや、部活の朝練などで早朝から登校しなければならず、疲れがたまりやすい。自分のキャパシティーを超えない部活選びや、家族のサポートが必要では

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●成長期で、ホルモンバランスの乱れがある時期にも関わらず、塾通いやクラブ活動で忙しく、睡眠不足による体調不良があるような気がします
 いざ中学校生活がスタートすると、体力面で苦労する子は少なくありません。「部活が始まったとたん、ついていけなくて帰宅後すぐ寝てしまう」「眠そうでつらそうな子どもを目の前にして勉強しなさいとはかわいそうで言えない」など、新学期を中心にそういった相談が増えてくるようです。本人がやりたいことに挑戦させてあげたいものですが、本当に練習がきついという部活動はあります。本当にできそうか、その部活動に入ったら、一日・一週間の生活はどのように変わるのかを想像して検討するには家族のサポートも必要でしょう。

※人間関係は、部活動のタテ関係・新しい友達で激変。メールやケータイでの付き合い方も気に なる点

●部活動が始まって、大幅に環境が変わるので特に人間関係を上手くやれない、コミュニケーション力が不足している子は、まいってしまうのかもしれないと感じています
 先輩とのタテ関係は、小学校までは「優しくしてくれる上級生」という関係しかなかったのが、「尊重すべき・自分を指導してくれる存在」に変化します。そこでの差に戸惑うというのは容易
に想像がつきますね。また関わる人が増えるため、いろいろな人と付き合う経験が少なかった子は、疲れを感じることもあるようです。

●思春期を迎え親に反発を感じるようになった時の支えとなるのが友人で、そこで気の合う友達と進学を機に離れてしまい、新しい友達ができなかった場合にはかなり深刻な状況になるのでは。
 子どもたちにとって、「友達」の存在はこの時期グンと大きくなるものです。そこで頼りにすべき「友達関係」を作り直したり一から作り上げたりしていくことをストレスに感じる子もいるでしょう。新しく知る他小学校からの子との人間関係をどう作っていくのか……そして「友達」ができるか……保護者のかたも中学校進学の際、同じようなことを感じたのではないでしょうか。

●携帯メールによる行き違い
 携帯電話を持つ子が増えることから、ケータイメールのやりとりや文面、だれが何をだれに送ったなどのトラブルについての声も見られます。中学校に上がったからだということが直接の原因ではありませんが、ケータイを持つ子が増えることで情報が伝わる範囲が広くなったり、メールの数が増えたりします。その結果、ケータイにとられる時間やトラブルが目立つようになるということでした。携帯にかかわらず、ネットやメールの使い方が人間関係にも深くかかわってくるため、使い方には注意が必要です。

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 以上のように、中学生の保護者は中学校生活についていろいろ気づきがあるようです。ギャップの早期発見・早期解決がその後の中学校生活の充実度を決めるものですから、各ご家庭で、今一度我が子を見つめ直したり、進学先の中学校の情報を集めたりして準備をしておくとよいでしょう。特にお子さまがギャップを感じず、またうまく自分で対処していければそれに越したことはありません。子育てがひと段落する時期ではありますが、「何かあったときに受け止めて支えになってくれる存在」としての保護者の役割はしっかり果たしてあげたいですね。