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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2013年8月31日]

教育相談室 Question 鉛筆の持ち方が直りません

教育相談室

Question 鉛筆の持ち方が直りません

※1年生の長男は、鉛筆の上に人指し指だけでなく中指も乗せて書いています。
  間違った持ち方だと、疲れやすいので集中力にも影響し引いては学力にも影響すると聞きました。
  今のうちに直したいと思って口を酸っぱくして言っているのですが、いくら言っても直りません。
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 Answer
  確かに、鉛筆を正しく持てるといいことがいっぱいあります。
  たとえば次のようなことです。

  1.鉛筆がうまく動かせるので、正しく美しい字が書ける
  2.鉛筆の先に力がうまく伝わるので適度の筆圧で書ける
  3.無理な力がいらないので、手が疲れない
  4.覗き込まなくても鉛筆の先が見えるので、いい姿勢を保てる
  5.これらの総合として、集中力が続き学力にいい影響がある

  まず、イチオシは軸が太めの三角鉛筆で書かせることです。
 普通の太さの三角鉛筆でも、六角鉛筆よりは書きやすいと思います。でも、太めの三角鉛筆が 一番です。これだと、親指、人指し指、中指がそれぞれ正しい位置に定まりやすく、しかもそれほど力を入れなくても書けます。
 いろいろな鉛筆や補助器具も試しましたが、今のところこれに勝るものに出会っていません。
  次に、鉛筆を正しく持つことのよさを子どもに納得させることが必要です。折に触れて、先の5つのことを子どもに話してあげてください。納得度とやる気は比例しますので、これは大切なことです。
  また、親が絶えず声かけすることも大切です。
 たとえば、次のようにします。
  宿題をやる前に、「さあ、正しい持ち方で書こう」と言う。
「最初の1分だけは、絶対正しい持ち方で書こう」「最初の1ページだけは絶対正しい持ち方で書こう」などの言い方もおすすめです。
  「また持ち方が違う。ダメだね」「正しく持たなきゃダメでしょ」などの否定的な言い方はや めて、「正しく持つと上手に書けるよ」などの肯定的な言い方や「さあ、正しく持とう」などの単純な言い方に徹してください。
  また、子どもが正しく持って書いていたら、必ずほめてあげてください。これも、とても大切なことです。
  次に、意識づけの方法として、正しい持ち方の図を目につくところに貼っておくといいでしょう。正しく持っている自分の手の写真、または持ち方も姿勢も正しい自分の写真などもいいでしょう。また、「正しく持って上手に書こう」などの標語を書いて貼っておくのもいいでしょう。
  それらを見て、「正しく持とう」と意識することができます。
  次に、実際に字を書く前に、正しい持ち方で運筆のトレーニングをすると効果的です。
 つまり、正しい持ち方で渦巻き・逆渦巻き・縦画・横画などを書きまくるのです。ある程度大きめに書いた方が効果があります。
  また、「永」や「水」という漢字を大きく20回くらい書くのもいいでしょう。「永字八法」と いうくらいで、これらの字には文字のいろいろな要素が入っているので効果的です。
 最初に、このトレーニングを1分でもいいのでやっておくと、実際に字を書くときにとても楽に 書けます。また、毎日続けると正しい持ち方で書くために必要な筋肉が鍛えられます。
 この運筆トレーニングは、字を上手にするためにも効果的なので、とてもおすすめです。ペン習字を練習する人には、必須のトレーニングです。
  以上、いくつか指導方法を紹介しました。
 ところで、これから書くこともとても大切なことです。
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  最初に書いたように、私は、鉛筆の持ち方にかなりのこだわりを持って指導してきました。 特に、低学年を受け持ったときは、「今のうちに」という気持ちでかなり粘り強く指導してきました。優しく丁寧に粘り強く、です。
 でも、正直なところ、たとえ1年生でも既に身に付いてしまった持ち方を直すのはかなり難しいことでした。

  私は授業中も頻繁に、「持ち方はどうかな?」「おっ、○○君、正しく持ててるね」「おー、今、正しく持てている子が20人います」などと声かけしていました。ですから、そういうときは、

 どの子も正しい持ち方で書きます。
  でも、私が何も言わないときや書くこと自体に没頭しているときは、元の持ち方に戻ってしまう子が多かったです。家で書くときもそうだったと思います。
 言われなくても自分で正しく持てるようになった子、書くこと自体に没頭しているときも正しく持てるようになった子、つまり完全に直った子は極めて少なかったです。
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  でも、どの子も正しい持ち方で書こうと思えば書けるようにはなりました。
 私はこれでいいと思います。
 私は、これ以上のことはできないなと思いました。
 たとえ1年生でも、既に身についてしまった持ち方を直すのはとても難しいことなのです。これ以上のことは、本人次第です。本人が本当にその気にならないと、できない部分というものがあるのです。
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  家庭で指導するときも同じです。三角鉛筆や運筆トレーニングをはじめとして、先に書いた ような工夫をしつつ、親が優しく丁寧に粘り強く声かけを続けてあげてください。
  でも、それ以上のことは要注意です。親が、是が非でも今のうちに直そう、強制的にでも直そうなどと思うとろくなことになりません。
 そうすると、やってはいけないことをやることになりがちです。たくさん叱ったり、罰で脅したり、たたいたりということになりがちなのです。
 それでは、たとえ鉛筆の持ち方が直っても、はるかに大事なものが失われてしまいます。

  それに、そもそも、鉛筆の持ち方すら本当に直るとは限りません。親がいないところでは元どおり、ということになる可能性も高いわけです。
 親ができることは、ぜひやってあげてください。でも、やってはいけないことは絶対やらないでください。