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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2010年1月14日]

生徒・保護者向け これからの教育論

生徒・保護者向け
これからの教育論

ほめることは子どもへの報酬
国立大学法人の総合研究大学院大学、心理生理学研究部門の研究結果によると、「褒められる」ことで脳は報酬を得た時と同じ状態になることが明らかになりました。
お金を得ると反応する脳の部位(緑)と他人に褒められると反応する脳の部位(ピンク)を重ねた図。同じ部位が反応していることがわかります。
 子どもがお母さんに褒められたり他人から良い評判を聞いたりすると、「心」がうれしくなります。そんなとき、脳の中ではいったいどのような反応が起きているのかを生理学研究所の定藤規弘(さだとう・のりひろ)教授と出馬圭世(いずま・けいせ)大学院生のグループが解明しました。
 研究グループが注目したのは、脳の中の「線条体」と呼ばれる部分です。機能的核磁気共鳴機能法(fMRI)を使って男女(平均年齢21歳)の19人に、褒められる状況と、報酬としてお金がもらえる状況の二つの状況をテストして、脳の反応を調べました。
 調べた結果、他人に褒められると反応する脳の部位は、お金のような報酬をもらえるときに反応する脳の「線条体」と同じ部位であることが明らかとなりました。褒められることが実際に脳においては「喜び」となり、「報酬」としてとしてお金などと共通に受け取られていることを明らかにした世界で初めての研究成果です。
 子育てなどでは、これまでの教育心理学によって「褒めると育つ」といわれていることが多いですが、今回の研究成果は、この「褒めると育つ」という言葉の裏づけとして、ほめられることが脳の中では「報酬」として喜びと感じられていることを明らかにしました。
 定藤教授は、一般市民むけに平成20年7月26日土曜日の岡崎げんき館(愛知県岡崎市)での市民講座『“ほめて育てる” を解き明かす! 〜子どもから大人まで使える「ほめる」と「脳」の関係〜(仮題)』で講演する予定となっています。
 褒めて育てることの大切さが今回の研究によって明らかになりましたが、子どもの年齢が上がるにつれて日常生活の中で「褒め」の実践していくのは大変なことです。しかし、子どもを感性豊かに育てていくためには、ちょっとしたことでも周りの大人がおおげさに褒めてあげるくらいがちょうど良いのかもしれません。