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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2010年1月14日]

生徒・保護者向け 高校授業料助成制度について

生徒・保護者向け
高校授業料助成制度について

県立高校はタダになるって本当
政権交代で異例の再提出となった来年度政府予算の概算要求ですが、このうち文部科学省分に、高校授業料の「実質無償化」のための経費が盛り込まれました。民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げているものでもあり、概算要求に計上されたことで、2010(平成22)年度から高校は小・中学校と同様に、授業料が無償となることが、ほぼ確実となったようです。

文科省は、今年度から高校の授業料を実質的に無償化するための「高等学校等就学支援金」として、4,501億円を概算要求の中に計上しました。具体的には、国公立高校の場合、年額「11万8,800円以内」で各都道府県などの定めている授業料に相当する額を、国が助成します。一方、私立高校の場合も、同額を国が助成するほか、年収500万円未満の世帯には2倍の「23万7,600円以内」を助成することにしています。助成金は直接保護者に渡すのではなく、実際には学校から授業料を徴収されないという「間接給付方式」になります。
ただ、私立高校の平均授業料は年間約35万円と言われており、実質的に無償となる国公立高校との間で、保護者負担の格差が拡大するのではないかと懸念する声があります。このため川端達夫文科相は、年収350万円以下の世帯に対して、私立高校授業料と国の助成金の差額分を都道府県の判断で助成できるようにすることで、実質無償化を図る方針を表明。その財源として地方交付税を活用するよう、担当官庁の総務省に要望しています。

文科省は、今年1月からの通常国会に、高校無償化のための法案を提出することにしています。財源などで曲折は予想されるものの、今年4月から高校の授業料は、国公立では実質無料、私立では低所得世帯が実質無料、それ以外の世帯も現行の3分の1から3分の2程度の負担で済むことになります。高校無償化は、進学率が既に約98%に達している高校教育を、実質的に義務教育化することを意味しており、日本の教育史の中でも画期的な出来事といえます。

しかし、高校関係者などの間では、「本当に支援が必要な家庭には意味がない」という懐疑的な見方もあります。低所得世帯などは、現在でも高校授業料の減免措置を受けているため無償化の恩恵はなく、逆に経済的に余裕のある世帯が無償化で余ったお金を学校外教育費などに回すことで、かえって子ども間の教育格差が広がる、という意見です。
これに対して文科省は、高校無償化と同時に高校の入学料と教科書などの費用を助成する「高校奨学金事業」123億円を概算要求に計上し、年収350万円以下の世帯の生徒約45万人を対象に、返済の必要のない給付型奨学金事業を都道府県などが行うとしています。奨学金は、国公立高校は1年生3万4,000円(私立は19万7,000円)、2年生1万6,000円(同1万5,000円)、3年生1万1,000円(同1万1,000円)が予定されています。ただ、自公政権当時の昨年8月の概算要求では高校奨学金事業に455億円が計上されていましたが、10月の再提出の際、高校無償化のあおりを受けた形で、減額されてしまいました。

 以上が今現在の高校授業料助成金とそれに付随する制度の概略であります。