[2013年12月22日]
教育ニュース
広がる土曜日授業、新指導要領の影響も
2002(平成14)年度から本格的に始まった公立学校の完全学校週5日制ですが、新学習指導要領が小学校で全面実施された昨年度前後から、土曜日授業の復活に向けた動きが起こり始めました。さらに2012(平成24)年4月から中学校で新学習指導要領の全面実施に入ったことを受けて、福岡県が土曜日授業を認めたほか、土曜日授業の試行や導入検討を表明する自治体が増えています。今後、授業時間数の確保が困難であることを理由に土曜日授業を実施する自治体がさらに増加することが予想されます。
学力向上を目指した新学習指導要領では、小学校が6年間で計278時間増、中学校が3年間で計105時間増とそれぞれ授業時間数が増えたため、5日制のままでは平日の授業時間数が多くなり、子どもたちの学習負担の増加が懸念される、というのが土曜日授業の復活の理由です。
全国に先駆けて復活に踏み切った東京都は、2010(平成22)年度から地域住民や保護者への授業公開などを条件に、月2回まで小・中学校の土曜日授業を認めました。また、栃木県も2012(平成24)年度から同様に月2回まで土曜日授業を認めています。これらに対して文部科学省は、あくまで地域住民や保護者との交流による「開かれた学校づくり」の一環という位置付けで、土曜日授業の実施を容認しました。しかし、全国的に見ればごく少数で、文科省の調査によると2011(平成23)年度に年に1回以上の教科の正規授業を土曜日に計画していた公立学校の割合は小学校が5.7%、中学校が6.4%にすぎません。
ところが2012(平成24)年度を前に、土曜日授業の実施や試行、検討を表明する自治体が相次いで現れました。福岡県は2012(平成24)年3月、小・中学校で月2回まで土曜日授業の実施を認める方針を通知。横浜市と京都府は、それぞれ検討会議の報告を受けて、一部の学校を実験校に指定する形で土曜日授業の試行に入ることを決定しました。大阪市も早ければ2013(平成25)年度から土曜日授業を実施する方針を示しています。埼玉県ではすでに狭山市・坂戸市・神川町などが2011(平成23)年度から土曜日授業を実施しているのに加えて、さいたま市が2012(平成24)年度から年1回の土曜日授業を実施するほか、鴻巣市なども年数回の土曜日授業を実施する予定です。
土曜日授業を実施する自治体が増えているのは、2012(平成24)年度から中学校が新指導要領の全面実施に入るためです。小学校に比べて中学校は、年間を通した授業時間数のやり繰りに限界があり、新学習指導要領で増えた授業時間数をどう確保するかが学校現場の大きな課題となっています。また、東日本大震災の際、被災地の学校に土曜日授業を活用するよう文科省が通知したことで、文科省の姿勢が弾力化したという受け止め方が広がったと指摘する向きもあります。
いずれにしろ、東京都などに続いて横浜市・京都府・大阪市・福岡県など大規模自治体が土曜日授業に踏み切る影響は大きいでしょう。今後、土曜日授業がどこまで広がるのかが注目されるところです。