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加藤学習塾
【岡山県岡山市の進学塾】

[2014年2月1日]

「達成度テスト」、狙いは高校・大学生に勉強させるため!?

「達成度テスト」、狙いは高校・大学生に勉強させるため!?

 政府の教育再生実行会議が、第4次提言(外部のPDFにリンク)をまとめました。基礎レベル・発展レベルという二つの「達成度テスト」(いずれも仮称・以下同)を創設することが主眼です。大学入試の「大改革」のことは当コーナーでもたびたび取り上げてきたところですので、お読みのかたは新聞報道を見て「いよいよ始まるのか」と思われたことでしょう。新しいテストには具体的な検討だけでなく準備や周知に時間がかかりますから、下村博文文部科学相は「少なくとも5、6年先の話になる」としています。現在の中学1年生が大学を受験する2019(平成31)年度には、もしかすると新しいテストが導入されるかもしれません。

 このうち「達成度テスト(基礎レベル)」は、高校教育の質の確保や向上を目的として、高校生にとって基礎的・共通的な教科・科目について、知識だけでなく活用力を見ようというもので、在学中に複数回受けられるようにします。高校の単位認定や大学入学資格には関連付けないものの、推薦・AO入試や就職試験などの際には、高校時代の学力を外部に保証するものとして活用できるとしています。中央教育審議会の部会が今年1月の審議経過報告(外部のPDFにリンク)で提案していた「高等学校学習到達度テスト(仮称)」と、ほとんど同じ内容だと言ってよいでしょう。中教審や実行会議では、ベネッセ教育研究開発センター(現ベネッセ教育総合研究所)の「第4回学習基本調査」のデータ(外部のPDFにリンク)を基に、学力中間層の生徒の勉強時間が近年、大きく減少しているという実態が問題視されていました。そうした中、外部にも成績が証明できるテストがあれば、生徒には自主的に勉強する目標ができます。いわば「高校生に勉強させるためのテスト」といったところでしょうか。

 一方「達成度テスト(発展レベル)」は、大学教育を受けるために必要な能力を判定するための試験で、各大学がそれぞれの判断で課すことになります。ただし成績は1点刻みではなく「段階」で示すとしています。1点2点の違いは当日の調子や運にも左右されるもので、必ずしも受験生の実力を正確に反映するものではないからです。大学側も同じ成績の受験生がたくさんいれば、面接や論文、高校時の活動記録など、テスト以外の多様な資料を加味して合否を判定しなければならなくなります。現在のように「一発入試」で受験校が狭まってしまうという方式ではなく、受験生の能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価して合格者を選ぼうというわけです。「入学後にも勉強する学生を選ぶテスト」といったところでしょうか。こちらも基礎レベルと同様、複数回受けられるようにします。

 新テストへの移行により、「受験の時だけ一生懸命、点数を取るために勉強する」といった姿勢は通用しなくなることでしょう。達成度テストは、高校生や大学生に普段から一生懸命勉強させるための仕掛けであり、裏を返せば高校や大学で学生に本来の勉強をがんばらせるような教育の改善を促すための仕掛けでもあるのです。