[2015年1月8日]
学力低下の原因? 私立大学入学者の50%以上が、推薦・AO入試合格者
保護者の受験生時代とは大きく異なる大学入試制度に、推薦入試とアドミッション・オフィス入試(AO入試)がある。AO入試は自己推薦入試とも呼ばれ、最近では大学生の学力低下の一因と批判されている。推薦入試やAO入試に気になる変化が、今、国立大学と私立大学の双方に起こりつつあるという。
大学が個別に学力試験を行わない米国では、AO入試が一般的な入試方法です。大学のアドミッション・オフィス(入試担当事務局)が、全国的な統一テストの成績、高校の成績、志望動機などの書類審査を中心に、必要に応じて面接も加えて入学者を決定します。
日本では大学入試の多様化を図るため、1990(平成2)年に初めて導入され、進学率の上昇とともに採用大学が増加しました。中には、「高校の推薦を必要とせずに、面接や小論文のみで選抜できる」という誤ったイメージから、手軽な学生獲得の方策として採用した大学もありました。いまや私立大学入学者の半数以上が、学力検査のない推薦とAO入試合格者で占められており、中央教育審議会はこれらの拡大が大学生の学力低下の一因と批判しています。
国公立大では学力重視に動きましたが、私大では依然として推薦やAO入試での定員を増やしていました。ところが最近の文部科学省の調査によると、入学者全員に対するAO入試入学者の割合が、国立大でわずかに上昇する一方、私大は2年連続で減少しています。同様に推薦入試入学者の割合も2年連続で減少しました。
AO入試は、成績、適性、意欲、興味・関心などを総合的に判断するのに適します。国立でAO入試が増加しているのは、コミュニケーション能力などグローバル社会に対応できる人材狙いの表れでしょう。私立で減少または頭打ち傾向があるのは、大学生の学力低下に対する社会的批判を意識し始めたためといえそうです。