[2016年4月25日]
大学入試 「複数回」「合教科」先送り
2020年度からの大学入試センター試験が変わることについてはご存じのことと思います。現在中学2年生以降の児童・生徒さん、家族の方々にとっては、大変気になる話題ではないでしょうか。
新しいテストがどのような形でスタートするのか。その骨格が3月に公表され、文部科学省の目指す記述式問題の導入は決まりました。しかし、試験の複数回実施や、複数の教科を合わせた「合教科」を受験科目とする改革の柱の実現は先送りされたようです。馳文部科学大臣は1日の記者会見で、「2020年度スタートというスケジュールは動かすつもりはない。現場の受け止めや実務的な作業があり、より丁寧に進めていく。」と述べています。
センター試験改革は、2013年「教育再生実行会議」において、「脱一発勝負・脱1点刻み」という形で提言されました。2014年末には、文部科学大臣の諮問機関「中央教育審議会」が答申を出し、新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の創設を決めました。1年間の有識者会議の議論で、記述式問題については最も検討が進み、マークシート式と別日程で実施する案やコンピュータによる支援など実現に向けた具体案が出され、問題例も公表されました。
しかし、2015年10月、馳文部科学大臣は「現場の理解を得ながら進めていくことが大切」と高校への配慮を示唆し、文部科学省の方針としては「複数回実施」を先送りするようです。50万人以上が受験し、厳密な採点が要な共通テストへの導入には、専門家から疑問符がつけられ、今現在の各大学の独自試験には記述式問題があり費用対効果についても疑問視されています。誰が採点し、公平性をどう担保するのかなど、まだ課題も山積みで文部科学省の動向、文部科学大臣の発言に注目しておく必要があります。
<文部科学省有識者会議最終報告のポイント>
○大学入学希望者学力評価テスト(仮称)
・2020年度導入。国語と数学と一部で記述式を実施。
・年複数回実施は当面先送り。
○高校基礎学力テスト(仮称)
・2019年度導入。当初は、国語、数学、英語で実施。
・学習指導に活用。2022年までは大学入試などに使わない。