パソコン版を見る

啓新セミナー

[2017年2月24日]

危険!!『猪突猛進型』漢字練習

2月も残り数日となりましたね。今日は晴れ間が見えたかと思ったら雪がちらつき、まだまだ寒い毎日ですね。公立高校の入試まで残り10日ほどとなりました。受検生の皆さん、そしてご家族の皆様もお体を大切にして過ごしてもらいたいと思います。

先日、『初の外国人女性棋士』が誕生しました。ポーランド出身のカロリーナさん、マンガの『NARUTO−ナルト−』がきっかけで将棋の世界に入ったそうですね。日本のアニメの影響力を改めて感じたニュースでした。カロリーナさんは漢字を覚えるのに苦労されたようですが、『漢字を駒に見立てて文で覚える』という方法で努力されたようです。

『駒に見立てる』なんて、さすが棋士を目指すだけの方ですね。漢字を単体の「文字」としてでなくその字を使って「文」として覚える方法、こういう方法は是非、小学生にも中学生にもやってもらいたいですね。


小学生が学校の宿題で出た「漢字ドリル」に取り組んでいるのを見ると、ひたすら文字をノートに書きまくっていることがよくあります。時には、ドリルのある例文を書いていることもありますが、書いている行の最後に来ると、たとえ文の途中であっても、そこで終わり。次の行には新しい漢字もしくは例文が始まります。見ていると、『覚えよう!!』と思ってやっているというより、ひたすら『修行』のようです。

また、読み方などは併せて覚えようと努力している様子も見られますが、その言葉、もしくは熟語の『意味』まできちんと理解しようとしているのかな???と思います。漢字は一つ一つの文字に意味があります。熟語になると、それぞれの文字の意味が合わさったり、もしくは、2つの文字が結びつくことで新しい意味が生まれたりします。いずれにしても、『意味』を意識しないで練習しても、なかなか定着しないものです。意味を無視して覚えた文字は記号と変わりないと思います。その時の一瞬や、直前のテストなどでは書けたとしても、『ことば』として定着していないものは、すぐに忘れてしまいます。

中学3年生の国語課題のなかで、漢字をやらせることもありますが、書けない、間違えた漢字・熟語は必ず意味調べをするように指導しています。きちんとできる子とできない子がいますが、やはり意味調べまできちんとしている子は同じ漢字・熟語を何度も間違えなくなりますし、模試でも漢字の書き・読みで満点近くとってきます。反対に、意味調べをしないで文字だけを何度も書くようなやり方をしている子は何度でも同じもので間違えますし、文章の読解力もついてきません。

漢字に限らず『言語』というものを習得するとき、【文字の形を覚える→意味を覚える→何度も書いて練習する】、この流れは必要なことだと思います。そして、この夏期練習をするときに、その文字やことばを使って『文』を作ってみるとより定着度がUPすると思われます。

しかし、どうしても『国語』となると、普段話しているから、普段使っているから、という自分にとって『身近』という理由だけで「そこまでしなくても、何とかなるのでは?」とか、「何回か書けば覚えるはず」なんて甘く考えてしまいがちです。大きな間違いだと思います。「漢字テスト」の結果が悪かったときは、『練習不足』だけが原因ではなくその言葉の意味を知らない、ということもあります。是非、間違えたことばの意味を確認してみてください。

小・中学生にとって漢字練習は日々するべき学習です。ただ文字によってノートが埋まっているだけでは全く意味がありません。「ことばの意味」を意識して練習させていくことで、漢字力だけでなく語い力も向上し、その積み重ねが文章読解に大きく影響を及ぼすと思います。

ノートの最後のマス目に向かってひたすら猪突猛進する漢字練習ではなく、一つ一つ立ち止まりながら取り組んでもらいたいと思います。