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啓新セミナー

[2017年12月15日]

改めて「母語」を考える

今週は雨・風・雪と大荒れの毎日でしたが、ようやく昨日から落ち着きましたね。毎日寒い日が続いていますが、塾を休む生徒はいなく、子どもたちが元気で何よりです。まだまだ冬本番は始まったばかり、どんよりとした曇り空の毎日ですが、元気いっぱいに過ごしたいものです。

先日、本屋さんでタイトルに惹かれ購入した一冊(^^♪
その『英語』が子どもをダメにする
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先月号のお便りでもご紹介したものですが、何だかツボにはまり、ついつい読み返してしまっています。本当は違う本を探しに行ったのですが、たまたま見つけ一緒に買ってしまいました。

なかなかインパクトのあるタイトルだと思いませんか?昨今は、小学校での英語の教科化や2020年に開催される東京オリンピックの影響で、子どもたちの英語教育に対する関心が一層たかまりつつあります。そんな世の中の風潮に疑問を感じていたのですが、この本に出会い自分の疑問に対する回答を得られた気がしました。

「英語力の前に国語力」−こんな言葉はず〜っと昔から言われてきていますが、それでも時代の流れでしょうか、「英会話」を重視する向きが強いことを感じます。英語で会話できる能力がないよりはあった方が良いかと思いますが、本気でネイティブの人たちと同じように海外の人と会話したいと思うのであれば、数か月から数年間、海外で生活することが手っ取り早いと思います。

言語は他者と意思疎通するための「道具」の一つです。その「道具」の精度を上げることは大切ですが、それ以上に何を話すか?−その「会話の中身」の方が重要だと思います。

本の中で最も興味深く感じたのが、「母語が完成されていない幼児に英語を学ばせることの危険性」について書かれた内容でした。長年、多くの小中学生の学習指導をしてきていますが、特にここ数年はまともに教科書を音読できない、もしくは正確に理解できない子供たちが増えていることを強く感じます。

日本で教育を受ける以上、「日本語の理解力」は何をするにも必要です。『母語としての日本語を正しく理解する能力を身に付けることが先決である』という内容に深く納得しました。そうです!教科書の文字も、日常の会話も、自分で書くノートも全て日本語なのですからまずは日本語、当たり前ですね。

我が家にも幼い子供がいて、よく英会話教材の案内が届きますが、改めて我が家の方針を決めるきっかけとなる1冊に出会えたと思いました。私は幼少期や小学生の英会話の学習を全否定するつもりはありませんが、ますます国際化、そしてAI化が進む将来を生きる子供たちに必要なスキルは何か?を提言してくれる1冊です。是非皆さんにこの本を読んでいただきたいと思い、紹介させていただきました。