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啓新セミナー

[2018年4月20日]

「ひしゃく」って何?「きゅうす」って何?

桜も散り4月も下旬を迎えましたが、我が家ではまだまだファンヒーターが大活躍の日々です。暖かくなり始めのこの時期は毎年何かしら体調不良をおこすのですが今年は何と!!腰をやられました。現在コルセット着用の日々です。体の老化が始まっていることを感じ切なさを覚えますが、気力だけは子どもたちに負けないよう頑張りたいものです。

この春から低学年さんの「ことばの学校」受講生が増えました。受講生さんを見ていると多少のスピードの差はあるものの、どの子も同じ言葉でつまずくことがわかります。

題材となる本は「したきりすずめ」や「くわずにょうぼう」などなど子どもの絵本でお馴染みのものばかりなので、どの子も一度はいずれかの本は読んだことがあるようです。しかし、本を読ませその中に出てきた言葉の意味や用法を確認してみると、意外とわかってないことが判明します。子どもたちが正しく理解していない言葉の多くが、昔話ではよく出てくるものばかりです。

「ひしゃく」「羽根つき」「たきぎ」などですと、まあ普段の生活では目にしないかな・・・と納得できるのですが、「きゅうす」「ゆのみ」「かしわもち」など、結構身近なものも実はわかっていないことが多くあるのです。授業後に保護者の方に授業の様子をお伝えすると「え!!その言葉知らなかったの??」と驚かれることが多々あります。

大人から見るとそれほど特別なものではなく当たり前のように存在するものでも、保護者の方が過ごした時代と現代とではやはり時代、生活様式が違います。日常生活の中で急須でお茶をいれる家庭が減っているといわれていますが、皆様のご家庭ではいかがでしょうか?正直言って、我が家には以前、急須がありませんでした。子どもたちの様子を見て、ハッと気づき、それから急須を使うようにしています。

大人が気づいていないだけで意外と知らない言葉は多くあります。しかし、子どもが言葉の意味を知らなかったことに気づいたとき、「そんなことも知らないの?」と言ってしまうのは当然NGですし、また、ど〜んと辞書を渡して「調べなさい!」と言うのもお勧めできません。

まずはどんなジャンルの言葉が弱いのか?をよく観察してみてください。その上で、子どもが「へ〜そんな意味の言葉なんだ」と多少でも興味を持てるような仕掛けをしていくとよいのではないでしょうか?「ひしゃく」を知らないことが判明したらお出かけの際に敢えて神社などに寄ってみる―「ひしゃく」との出会いを演出するなんてやり方もあるのでは??

私は『語彙力』=『生活力』だと思います。語彙が豊富であることで人とのコミュニケーションがスムーズにもなりますし、様々な情報を得ることにもつながります。しかし、『語彙力』は学校や読書だけで身に付けられる力ではありません。日常生活の中で培われるものですし、そもそも言葉に対する興味が無ければ育つものではありません。

「ことばに対する興味」は全ての学習、ひいてはその子の「人間力」そのものにつながる大切な『根っこ』となる部分だと思います。子どもたちがさまざまな言葉に出会っても興味が無ければ吸収はできません。言葉に対する興味が持てるかどうかは周りの大人次第です。子どもたちが一つでも多くの言葉に興味を持ち、幅広い『語彙力』が身に付けられるよう、ご家庭と一緒に取り組んでいきたいと思いました。