パソコン版を見る

啓新セミナー

[2022年6月17日]

学力の差をうむ学習姿勢

梅雨シーズン到来!!新潟も梅雨入りしましたね。梅雨らしく雨が降るわけではありませんが、湿度は格段に高くなったことを感じる毎日です。ここから約1か月、このようにジメジメした日々が続くかと思うとため息が出ますね。何といっても洗濯物が乾かない、家中がジメジメした感じがする、何だか体がじっとりする、と嫌な事3拍子が揃うこの時季、体調も崩しがちです。何といっても片頭痛持ちの身としては本当に辛い時季です。体調を崩さないよう、気を付けて過ごしたいと思います。皆様も、お体に気を付けてお過ごしください。

今週は小学生の授業の話題を…。
今、小学6年生の算数では「分数のかけ算・わり算」の学習をしています。先日、授業中に取り組んでいたワークに以下のような問題がありました。
<問>2メートルの長さのひもを使って長方形を作ります。縦の長さは3/8(8分の3)です。
  (1)横の長さを求めなさい。
  (2)個の長方形の面積を求めなさい。
ある生徒の解答を見ると、(1)2×3/8=6/8 答え3/4m (2)3/8×3/4=9/32 答え9/32?
大きく間違ってはいるのですが、このような間違いを見ても、実はそれほど驚きません。というか、小学生によくある間違い方だと思ってしまうぐらいです。

正しくは(1)1−3/8=5/8  答え5/8m  (2)3/8×5/8=15/64 答え15/64? となります。

なぜ、この生徒が上記のような間違いをしたか?
こ問題が載っているページの先頭に「分数×分数」とタイトルが書かれています。そして、上記の問題はそのページの最後の問題なのですが、そこに至るまでの問題は全て「分数×分数」の計算をすれば求められるものばかりなのです。つまり…

タイトルが「分数×分数」となっていて、最後の問題を解くまでは特段考えなくても「分数×分数」をすれば〇だったーただそれだけなんです。つまり、文章題の内容をきちんと読んでいない、もしくは理解できていないということです。機械的に出てきた数字を「かけ算」とタイトルがついていればかけ算し、「わり算」となったらわり算するーそんな感じでしょうか。答えを求めてみたら、思ってもないような変な数字になると、次はタイトルを無視して、「かけ算だと変な数になるならわり算だ!!」という訳の分からない暴挙に出ます。

5・6年生になってくると、今学習している単元の内容だけでなく、今までに学習した内容を複合的に絡み合わせて解かなければいけない問題が多く出てきます。ましてや、問題文に登場する数字だけをこねくり回して、かけ算でダメならわり算、それでもだめなら足し算かひき算というような考え方・取り組み方では一気につまずいてしまいます。算数の文章題の中には、隠れている数字を見つけて解かなければいけないものが多くあるからです。

上記の問題でも、「2メートルのひもを使って長方形を作るので長方形のまわりの長さが2メートル、長方形は向かい合う辺の長さが等しいのだから【縦+横】×2=2メートル。つまり、【縦+横】は1メートル」のように、問題文中には出てこない「1」という数字に気付けるか?ということです。問題のレベルとしては『難問』ということではありませんが、計算さえできれば解ける問題ではなく、きちんとその内容をイメージする力が求められる問題です。イメージするために図や表などなにかしらの工夫する必要があります。

種明かしをしてしまえば、「なぁ〜んだそんなことか」と言う子が殆どです。しかし、この事実に自分で気付けるようになることが大切だと思います。問題文を読み、図形を実際に描いてみるというような、一手間をかけることができるかどうか?が、隠れた数字を見つけられる子と見つけられない子の差です。

勉強は作業ではありません。一つ一つの問題にいかに真摯に取り組むことが出来るか?がその子の学力の限界値をきめるのではないか?と思います。面倒な作業として勉強をとらえ、ワークやノート埋めることが「第一」と考えて取り組むのか、今目の前にある問題から何かを吸収しようと取り組むのか?という勉強に対する姿勢がその後の学力に与える影響は非常に大きいです。中学以降の学習において、80点・90点という高得点を取れる子と、頑張っても頑張っても60点までしか取れない子の違いは、小学生時の学習に対する姿勢と取り組み方による違いとも言えます。

様々な問題との「出会い」を大切にして、その問題に真摯に取り組んでいける姿勢を育んでいけるよう、日々の授業を大切にしたいと思いました。