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啓新セミナー

[2023年12月8日]

辞書引き無限ループ

 こんにちは。金曜日ブログ担当の大谷 詠子です。昨日は朝から大荒れの凄い天気でしたね。風が強かったので体感温度は低く感じましたが、まだまだ気温は2けたと、12月のわりに暖かいですね。明日はさらに気温が上がり、18℃との予報。気温変化が激しい日々です。こんな天候であれば、インフルエンザが大流行しているのもうなずけます。年末にかけて、何かと気忙しく落ち着かない日々ですので、体調を崩さないよう気を付けて日々過ごしたいと思います。

 最近、小学生・中学生の「ことばの学校」&国語の授業時に気になることがあります。現在、「ことばの学校」の授業では小学1年生から中学1年生までの生徒さんが受講しています。小学2年生以上になると、少し早いのですが、「辞書引き」を授業の中で取り入れています。小学2年生ぐらいだと、まだ国語辞典の引き方を学習していないので、授業で引かせる言葉も2・3個程度ではありますが、知らない言葉に出会ったときに、「調べる」という経験&習慣をつけてもらいたいと思い、取り組んでいます。

 知らない言葉をチェックして、辞書を引き、言葉の意味をメモするーこの3つが基本のセットですが、調べ終わった後に「で、どういう意味?」と確認をすると、思いのほかわかっていないことが多々あります。それは小学校低学年さんだけでなく、中学生さんに至ってもです。なぜか?

 その理由は、辞書で言葉を調べたはいいが、その言葉の意味を説明をしている言葉の意味が分からないからです。これでは、せっかく辞書をひいても言葉の理解にはつながりません。こういう時は、更に、メモした意味を説明した言葉の中にある分からない言葉を辞書で引く、そこでもわからなければ更に引く、という何だか無限に続くかのような辞書引きループへと入っていくのですが、そこまでしていかなければ、本当に意味での「分かった」にはなっていきません。

 「語彙力をつける」=「たくさんの本を読む」にはならないと思います。ただ、ひたすら本を読んでいるだけで「語彙力」は身に付かないのです。「本を読む」「文章を読む」という行為は、「知らない言葉に出会う」ための単なる機会に過ぎず、そこで出会った知らない言葉たちの意味をきちんと分かるまで調べ続けるからこそ、「語彙力」がついてくるのだと思います。

 少なくとも、読書だけで語彙力をつけるためには、「毎日読書」というような、読書習慣をもち、相当数の本を読むことが必要です。また、読む本のジャンルも重要で、ある一定のジャンルだけではなく、様々なジャンルの本である必要もあります。

 中学生になり、国語の成績で伸び悩む一番の原因は、「語彙力の無さ」です。語彙力が無ければ、その内容を正確に理解することは出来ませんし、自分の言いたいことを表現することもままなりません。国語の成績がパッとしない子は、国語だけでなくその他すべての教科で伸び悩むことに繋がります。

 辞書引き無限ループは、確かに大変ではありますが、「分からない言葉をそのままにしない」という姿勢がその後の学力の伸びを左右すると言っても過言ではありません。まずは、些細な言葉でも「辞書を引く」習慣を身につけさせること、そして、お子さんが辞書を引いている姿を見かけたときは、「で、どういう意味だった?」と是非聞いてみてください。その辞書引きが、力になっているかどうかがわかります。