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啓新セミナー

[2025年7月11日]

社会は「たかが暗記」ではない!

 こんにちは。金曜日ブログ担当の大谷 詠子です。梅雨明けしていないにもかかわらず、連日のこのお天気。毎日毎日とろけそうです。これだけお天気が続いているので梅雨明けしたの?と思ってしまいますが、梅雨明け予想は25日ごろとか。梅雨明け前からこの暑さでは今年の夏はどうなるのでしょうかね。

雨が降ってジメジメするのは嫌ですが、ここまで雨が降らないのも困りものです。梅雨らしく雨がざっと降って、すっきりと梅雨明けしてもらいたいものです。

 最近の授業の中でどの教科を指導していても子どもたちの語彙力の低下に驚かされることが多くなりました。小学生向けの講座の1つである「ことばの学校」。その授業の中で、最近特にびっくりしたのが、小学低中学年の生徒の多くが、「びんせん」や「こしかけ」という言葉の意味を知らなかったことです。

子どもたちにすると手紙を書く機会はそれほどないのかもしれませんが、正直「びんせん」という漢字を知らないのは当然にしても言葉ぐらい知っているだろうと思っていたので、かなり意外に思いました。 また、「こしかけ」なんて日常的な言葉だと思っていましたし、子どもたちは毎日使っているものですから知っていて当然と思っていたのですが、そうでは無かったのです。

 自分が年を重ね、子どもたちとの年の差が開いていっているからなのか、子どもたちの語彙力が相当低下しているのか、どちらなのか分かりませんが、こうした子どもたちの状況からわかることは、大人が知っているはずと思っている言葉の多くを子どもたちが知らないという事実です。

 現在、保護者の方と面談をしていますが、その中で、多くの保護者の方が「社会は暗記すればよいだけ」とおっしゃられます。確かに暗記することが多い教科ですが、「用語を暗記する」の前提には、「その言葉の意味を理解していること」が必要です。ですから、語彙力が低下してきている今の小学生・中学生にとって「暗記する」ということは至難の業とまではいかないまでも、かなりハードルの高いことだと思います。

 実際に、先日も中学3年生社会の授業の中で、「シベリア出兵」という言葉が出てきたのですが、ふと気になって「シベリア」の意味わかるを尋ねたところ、「?」という状態でした。「出兵」は漢字から意味が類推できていても、「シベリア」が何か?人の名前なのか場所の名前なのか、はたまた別の何かなのか、場所であるならばどこの場所なのか、などなどがわからなければ、この用語を覚えるのは難しいでしょうね。他にも「財閥」や「軍閥政治」などなど明治以降の歴史ではお馴染みの言葉ですが、一つ一つの意味が分からなければ、その場は何とかなっても入試での得点とするには難しいでしょう。

 今の子どもたちを見ていると、「暗記科目だから自力で」というのは、ちょっと難しいと思っています。子どもの学習の様子をつぶさに見て、どの言葉の意味を理解できいないかを察知し、サポートの手を差し伸べる必要があるのが、親世代の社会の学習との大きな違いでしょう。

 覚えられないのは「根性が無い」せいではなく、語彙力が足りないせいでは?と思うと、社会の得点の見え方が変わると思います。語彙力が低下している今どきの子どもたちにとっては「たかが暗記」では無いという現実を、日々の授業の中で実感しています。