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啓新セミナー

[2011年11月25日]

『水戸黄門』が・・・(T_T)

来年度行われる中学校の教科書改訂。新潟市の中学国語で採択される教科書に夏目漱石の『坊っちゃん』が中1に、森鴎外の『高瀬舟』が中3に登場することを知り、自宅の本棚の奥に放り込んでいた2冊の本を引っ張りだし、何年かぶりに読んでみた。

『坊っちゃん』 夏目漱石作
 親譲りの無鉄砲でこどもの時から損ばかりしている。小学校にいる時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かしたことがある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。


『高瀬舟』 森鴎外作
 高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が遠島を申しわたされると、本人の親類が牢屋敷へ呼びだされて、そこでいとまごいをすることを許された。それから罪人は高瀬舟にのせられて、大阪へまわされることであった。


2つの作品の冒頭部分です。以前のブログでも取り上げた『坊っちゃん』冒頭は、なかなか今どきの子どもたちには難解な言葉が並んでいます。言葉だけでなく学制も違うので、そういった時代背景も考慮しながら読んでいかなければいけません。

また、『高瀬舟』で出てくる、“遠島”“いとまごい”などもその時代ならではのものですよね。一昔前だと、毎晩何かしらの時代劇物の番組が放映されていましたが、最近ではあの!!長寿番組である『水戸黄門』も放送終了になるご時世。そうした時代のものを身近に感じるのが難しくなってますね。そう考えると、自分たちの時代はまだよかったんだなぁ〜と思ってしまいます。

こうした語彙力に関する問題は国語だけでなく、社会や英語にまで波及するのが来春の教科書改訂です。

英語では履修単語数の話題(現行900語程度⇒新指導要領1200語程度に増加!)が取り上げられますが、単純に数の問題だけでなく、その「言葉」自体も難解になるようです。具体的には、「世界各地の文化」や「日本の伝統文化」「福祉・環境・平和・情報化などの現代社会の問題」に関する単語が必修単語として登場してきます。ということは、日本の伝統文化などに対する基本的な知識がないと、

『英単語を覚えたけれども、日本語の意味がわからない』
という事態になりかねないということです。

また、社会科でも歴史分野では、「多文化理解や他国理解」に関する項目も出てきます。多文化や他国を理解しようと思ったら、当然日本のことを理解しておかなければ理解できるわけがありません。さらに地理分野では、現行では世界や日本の地域を全て学習していないのですが、来春からは世界でも日本でもすべての「州」、すべての「地域」を扱うことになります。いかに自国のことを理解するか?というのが新年度からの学習です。

グローバル化がどんどん進む現代、10年後には社会で活躍する世代になる今の子どもたち。『英語を話すことができる』ということはもちろんのこと、いかに他国の人々とコミュニケーションをとっていけるかがより重要課題になってきます。

言葉なんて所詮道具。それよりも大切なのは『何をどう伝えるのか?』ではないでしょうか?伝えるべき『中身』がない大人にならないように、新教科書でしっかり一つでも多くのことを学びとっていけるように指導していきたいです。

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☆啓新セミナーでは、新学習指導要領によって変化する教科書に関する情報誌を作成しました。(塾生の皆さんには今月んお便りと一緒にお渡ししています)興味のある方はご連絡ください。