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啓新セミナー

[2013年5月17日]

「くどくど」と「どきどき」

(どきどき)文句を言われてしまった。(○=くどくど言われた)
どう答えてよいかわからず(くどくど)した。(○=ドキドキした)

小学生のワークの答えです。「胸がドキドキする」「くどくど言われる」という経験は今どきの小学生はあまりないのでしょうか?以前も「スズメがキンキン鳴く」という答えに驚きましたが、国語の授業をしていると「言葉の力」がおちてきていることを感じます。大人が「これぐらい知っているだろう」という言葉を知りません。逆に私たちはこういう言葉をどう覚えたのでしょうか?学校や塾でしょうか?動物の鳴き声などは実際に見聞きした経験や本からではなかったかと思います。


子どもたちにとって『学びの場』というのは学校や塾だけではありません。日常生活の中で学ぶ事は学校や塾で学ぶ事以上にたくさんあります。特に言葉を学ぶ機会というのは日常会話の中に多くあります。塾では週に数時間だけしか学ぶ事が出来ません。その中で出来る「学び」には限界があります。物語文や説明文の問題をどう解いていくのか?どのように答えを作っていくのか?が学習内容の中心となります。しかしこれからは、その前段階の「言葉の力」を身に付けていく学習が必要になってきているのでしょう。ですが、やはり家庭での日常生活の中で一つでも多くの言葉を覚えられるような働きかけをいかにするかはとても大切なことだと思います。


言葉の力を意識した取り組みとして何をするか?やはり辞書で調べることが大切です。しかし子どもたちを見ていると「分からない言葉が分からない」という状態であることが多くあります。「分かる」という状態はその言葉がどういう意味なのかをきちんと説明できる状態にあることです。これぐらい知っているだろうと思うような言葉でも意外ときちんと分かっていません。教科書などの文章を音読し、一文を構成している一つ一つの言葉の意味を辞書で確認する、各段落毎の内容をまとめる、というように一つの文章を丁寧に読むことをさせていくことが大切です。様々な文章を多読させることも良いことですが、それぞれの文章をじっくり読むということも必要なことです。


今はパソコン、電子辞書、i-Padなど色々な便利グッズが多くあります。クリックするだけで様々な情報が瞬時に得られる時代です。だからこそ敢えて苦労して調べること、目に見えないものを想像することが必要だと思います。映像として見えないからこそ一つ一つの言葉の意味をきちんと捉えていかないと何の話なのかが理解できません。そのような「言葉の意味を正しく捉える必要性」を感じる機会を多くしていくことが大切です。必要性を感じないことに一生懸命になれないのは子どもも大人も同じです。


「言葉の力」をつけ一つ一つの文章を正しく理解できるようになることで、その文章の世界を正しくイメージすることが出来るようになります。どの教科の学習でも書かれてあることを正しくイメージすることは必要です。教科の学習だけでなくイメージ力はコミュニケーションにも絶対必要です。便利な世の中になった分だけ、よりアナログな方法での学習が必要なのではないでしょうか。