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啓新セミナー

[2015年2月6日]

頭の中のテキスト

立春を迎え昨日はポカポカと春が来たことを感じさせる暖かい一日でしたが、今日は一転して雪がちらつくようなお天気。早く暖かくなってほしいものですね。小学校でのインフルエンザの流行はだいぶん落ち着いてきたようですが、最近は中学生で体調を崩す生徒が増えてきています。まだまだ寒い日が続くので気をつけなければいけませんね。

昨日と今日は鳥屋野中、小針中が期末テスト、来週が黒埼中、再来週が上山中と中学生のテスト期間が続きます。テスト対策の特別授業もまっただ中です。今年度最後のテスト。どの生徒も思うような結果となるようにと連日きびし〜い指導をしています(^_^;)。

例年、この時期のテストでは国語の古典・文法が範囲となります。特に中2にでは助詞や動詞の活用形、古文もしくは漢文が範囲となり苦戦する生徒が多くいます。毎年、文法事項を指導していて感じるのですが、指導をしてその内容がすっと入っていく生徒と入っていかない生徒がいます。

何が違うのか生徒の様子を見ていると、すっと入っていく生徒は普段の話している言葉や、英文の日本語訳などがしっかりしています。授業の合間の他愛無い会話でも誰が何をどうしたのかがよく分かりますし、日本語訳もいわゆる「てにをは」がある程度きちんと使えていたりします。

一方で、なかなかスムーズに入っていかない生徒はというと、普段の会話の中でも何がどうなったのか?やどういうことなのか?を何回か聞き直さないといけなかったり、日本語訳では「てにをは」の使い方がめちゃくちゃだけでなく主語と述語がねじれていたりします。普段の言葉遣いと文法力は密接な関係があると思われます。単語だけや擬態語・擬音語ばかりを使って会話している子の文法力は低いことが多いです。

随分前の話になりますが、上越に居るころに実家に帰るため長野に向かう電車に乗っていたときのことです。

前の座席に高校生が座っていました。どうやら地元の進学校の生徒のようでした。テストが終わった直後らしく、始めはテストの結果について話していました。二人とも古典と英語の結果が散々だったようです。大きな声で会話していたので、その内容がよく聞こえてきました。その後、話題は学校生活でのあれこれへと移っていったのですが、それが擬態語・擬音語のオンパレード!何がどうなったのかオバサンには全く理解できない内容でした。さらに、一つ一つの出来事に対するコメントは『それ微妙じゃね?』『マジヤバい!』『普通じゃね?』の繰り返しです。あまりにも当時の若者のはやり言葉の連続に思わず笑いが込み上げるほどでした。「そりょ、文型科目よわいだろうな〜」というのが感想でした。

普段の会話で使う表現は、その子の頭の中にあるテキストがどれぐらいあるかを表していると思います。語彙が貧弱であったり正しい日本語テキストが少なければ、自分が伝えたい内容を身振り手振りや擬態語・擬音語を使うしかありません。ちょうど自分が話せない言語を使う外国の方と意思疎通するときと同じです。また、そうした言葉ばかりで会話することに慣れてしまえばわざわざ様々な言葉や新たな日本語テキストを覚えようとする必要がありません。結果的に文法力は磨かれなくなると思います。

国語の学習は教科書を開いたり問題集を解くだけではないと思います。日常繰り返される『会話』の中に、その根っこの部分があり、根っこが育って初めて花が咲くのだと思います。周りにいる大人が敢えて子どもに分かる言葉ではない言葉を使ったり、普段の言葉遣いに気を付けてあげたりすることが根っこを育てていくのではないでしょうか。そんなことを思い、普段の子どもたちとの会話にも気を配っています。子どもたちが擬態語・擬音語を使ったときに「それ、どういうことなの?」とそれらの言葉に込められた意味を聞いてみるだけでも違うと思います。こちらが子どもたちの言葉のレベルに下りていくのではなく、子どもたちの言葉の引き出しを増やしていくような接し方をしていく必要があることを年々強く思います。