[2016年5月23日]
「合格者数」を謳う宣伝広告が多いようです。しかし、「不合格者数」を公表する塾はほとんどありません。
心理学のカラクリやマジックを知らない保護者や生徒は、この「合格者数」で指導内容の良し悪しを判断させられることになります。次のような塾があったとします。A塾のみが、さかんに合格者数を宣伝しています。
A塾:難関校合格者500人!
B塾:難関校合格者50人!
C塾:難関校合格者5人!
深く考えない人は「A塾こそ、わが子にふさわしい」と考えてしまいがちです。ここに落とし穴があります。
それぞれの塾の、その年の受験者数をこれに加えると、見え方が一変します。
A塾:受験者数5000人中、合格者500人!(不合格者数4500人!)・・合格率10%
B塾:受験者数100人中、合格者50人!(不合格者数50人!)・・合格率50%
C塾:受験者数5人中、合格者5人!(不合格者数0人!)・・合格率100%
これでもA塾を選びたいと思うでしょうか?
「合格者数ナンバーワン」のA塾は、実は「不合格者数ナンバーワン」の塾だったのです。
マーケティングや宣伝広告の極意を知り尽くした大手塾は、合格者数を謳うことが集客に最も有効であることを知っています。ですから、学習指導よりも合格者数(総数であって合格率ではない)を増やすことに必死になります。
合格者数を増やす最も有効な手段は何かお分かりになりますか?
それは、「教室数を増やすこと」です。教室数を増やせば生徒数が増えます、生徒数が増えれば合格者数が増ていくというカラクリです。次は、教室数はほどほどの数であっても、一つひとつの「教室規模を大きくし、クラスを増やすなどして生徒数を増やすこと」です。どちらも分母である生徒数を増やして合格実績をかさ上げするという点で類似の手段です。
「合格者数」を強調する塾には、ぜひ不合格者数を聞いてみてください。隠さずに教えてもらえれば、きっと良い判断材料になると思います。ハッキリ答えてもらえない塾は疑った方が賢明かもしれません。
さらにカラクリをもう1つ暴露しましょう。
大手塾の中には、受験学年になってもなかなか受験校を絞らせてもらえず、ギリギリになって「ここを受けてください」という指導をするところがあります。これは合格者数と不合格者数を操作するための手法です。
例えば、Y校が「本命」(第一志望)で合格可能性が十分あるなら、複数回入試日がある場合は、その全てでY校を受けるのが最適な戦略です。しかし、これに難易度が高いX-1校やX-2校と、難易度の低いZ校を、「日程まで指定」して併願してくださいなどと、なかば「強制」されたりします。
これは、運よくX-1校またはX-2校に合格すれば、塾の難関校合格者数を上積み(重複表示)でき、Z校を受験させることで、塾の総合格者数を増やし、全敗者数(不合格者数)を減らせるからです。
こうして作られた合格実績によって保護者の気持ちが操作されてしまいます。
あなたは賢い保護者ですか?
誤った判断をしていませんか?