[2016年5月29日]
・算数や数学は公式や解法がはっきりしています。
・英語は文法、構文、単語・熟語を身につければ正解できます。
しかし、国語(受験国語)の読解は明確な解法が体系化され、共有されているとは言いがたいのです。
書店などで販売されている学習参考書にはシリーズには国語が入っているものが多く、塾教材でも国語は数学(算数)や英語と並んでラインナップが多いのが実態です。
ところが、それを学んだ人が国語の読解問題(入試問題や模擬試験など)で全問正答できるような内容になっているものは、まず見当たらないのです。
残念なことですが、設問に対する模範解答(正答)が、なぜ模範解答であるのかを、それぞれの設問ごとに説明しているに過ぎないものが多く、普遍的な解法を身につけることができません。
算数(数学)などは学校などで学ぶ内容をしっかり身につければ、それが出題範囲の入試問題を解けるようになります。理科、社会、英語も、ほぼ同じです。
しかしながら、国語だけはそうはなりません。学校授業では受験国語の読解問題の解法を指導していないからです。なぜ指導しないのかというと、学習指導要領にも教師用指導書にも、受験国語の解法が載っていないからです。
英語の教材であれば、単元が明確で、その解法もしっかり示されます。
単元:『現在完了形の基本』
基本文型「主語+have(has)+過去分詞」
⇒解法?「規則動詞・不規則動詞の活用形を覚えよ」
⇒解法?「継続・経験・完了」を表すときは、過去形でない
⇒解法?「完了形特有の前置詞などで見分けよ」already、yetなど
ところが、国語では単元が大雑把で、解法も明確に示されていないことが多いです。
・物語文(その5)
これでは受験生は何を学び取ったら良いのか明確に意識できません。次のような単元にして、解法をしっかり示すべきでしょう。
単元:『物語文−登場人物の心情を読み解く』
⇒解法?「常識的な解答(選択肢)を選べ」、「独創的になるな」(作問・採点は学校の先生)
⇒解法?「本文にない内容を使って書くな」、「自由に創造するな」(自由作文ではない)
⇒解法?「登場人物に感情移入しない」、「私だったら・・は解答に含めるな」(読書感想文ではない)
⇒解法?「場面の変化、時間の変化で区切れ」
⇒解法?「登場人物の心情の変化を見落とすな」
⇒解法?「登場人物の名前・性別・年齢・役割や、登場人物間の関係を整理・把握してから設問を解け」
単元:『論説文−筆者の意見・主張を読み解く』
⇒解法?「常識的な解答(選択肢)は疑え」(常識的なことは論説で取上げられない)
⇒解法?「問題提起していること何かを意識せよ」
⇒解法?「『実は』、『ところが』、など逆説的な言葉の後に続く内容に注目しろ」
⇒解法?「意見・主張は何かを見つけ出せ」
⇒解法?「『つまり』など、まとめにつながる言葉の後に続く内容に注目しろ」
⇒解法?「本文にある内容・言葉で答えよ」、「意見を求められない限り、自分の意見は書くな」
平均的な入試問題は、漢字・語句10−20点、説明的文章読解40−45点、文学的文章読解40−45点といった構成です。読解問題には文法や国語の知識を問う問題が含まれていたり、漢字・語句の問題が読解問題の大問に含まれていたり、詩が出題されることもあります。いずれにせよ、読解問題が解けないと合格ラインを超えられません。
では、合格者たちは難関校の国語の入試問題をどう突破してきたのでしょうか。実は、受験国語読解の解法は「あるところにはある」のです。あるいは「もっている人はもっている」のです。しかし、その全てが体系化されているかどうかは疑問が残ります。
武道の奥義のように、流派ごとに門外不出のようにになってしまっているのです。ですから参考書などとしては出回ってこなかったのです。
こうした実態に異を唱え、解法を世に知らしめようと試みている人がいます。しかし、簡潔になりすぎたり、細かくなりすぎたりしているものが多く、まだまだ発展途上です。
受験生には有りがたいことかもしれませんが、受験国語の奥義ですので、国語の奥義として誤って広がる懸念も排除できないのです。これも、学校授業で指導を受けられない理由の一つでしょう。