[2016年5月31日]
都立中(九段中、学芸大学付属国際、東京大学教育学部付属を含む)の受検人気が相変わらず高い。
そこで、学習面での注意点を考えたい。ご存知の通りですが、
A:都立『中』の入試(一般)は「適性検査」型
B:都立『高』の入試(一般)は「学力試験」型
ここで、注意して欲しいのは、都立高校入試(私立高校入試も)は純然たる「学力試験」であるということです。少なくとも過去20年以上の間、基本的に変更がありません。ですから、受験に向けた学習指導の内容も同じ期間、ほとんど変わっていません。
都立中の入試は「適性検査」型ですので、「適性検査」型入試の対策ばかりしても「学力試験」型の入試には対応できません。
「適性検査」型の学習ばかりしていると、いざ不合格になったときに、高校入試に向けて「学力試験」型の学習に『大転換』しないといけません。つまり、これまでの努力の大部分が『水の泡』になってしまいます。
一方で、私立中入試は「学力試験」型ですので、私立中入試型の学習をしてきた人は、高校受験することになっても、それまでの努力が『水の泡』になることはありません。
さらに、「学力試験」型の学習をしっかりと積んできた人は「適性検査」型入試にも対応できることが分かってきています。
何を根拠に言っているのかと思われる方は、都立中合格者(特に上位校)の併願先を調べてみてください。私立難関校合格者の都立中合格率が高く、また年々高まっているのです。一方で「都立中受検専門塾」の『合格率』は芳しくありません。「数打てば当たる」的な状況です。
さらに、話題の「大学入試改革」にも過度に期待するのは危険です。これまでも何度も大学入試の内容は改革されてきましたが、「掛け声だけで中身は大きく変わらない」というのが現実でした。AO入試や推薦入試など「学力試験」を経ずに入学した学生に、入学後の授業についていけず留年・退学する者が多いため、九州大学や筑波大学などでは、過去に設けた「学力試験」を課さない選抜方法の定員を大幅に縮小しました。大学側は確かな「学力」を持たない学生を受け入れたくないので、試験の名前や形式が変わっても、中身は「学力試験」が主流であり続けるはずです。
話が長くなってしまいましたが結論を申し上げます。
?「都立中」を目指す(単願を含む)なら、小4から小6まで「学力試験型」で4科をしっかり学習すること
?「都立中」に合格したいなら、まず4科の偏差値で合格ライン超えを目指すこと
?「都立中」の入試内容と、「都立高」の入試内容には、連続性や親和性がない
?「都立中」に落ちたら「都立高」を目指せば良いという安易な考えは、後々わが子を苦しめる
?「都立中」の合格可能性が低いままなら、早めに「私立中受験」か「高校受験」に切り替えよ
?受検料や入学後の授業料が安いからといって、無駄な努力を延々と続けるな
?「思考力・分析力・表現力」を伸ばしたいから受検(受検勉強)するといのは本末転倒
?「大学入試改革」に過度に反応するな、ほとんどはセールス・トークに過ぎない
知識や教養も、思考力・分析力、正しい判断力、豊かな表現力の礎です。知識や教養(INPUT)なしに思考力・分析力・判断力・表現力(OUTPUT力)は育ちません。
知識や教養を身につけるために必要な「基礎学力(真の基礎学力)」(INPUT力)は、小4(10才)までにしっかり育成・獲得しておきましょう(「思考・判断・分析力コース」も参照ください)。