[2016年8月18日]
なんで英語を勉強するの?
その問いに答える前に、英語に関する個人的な体験談をお話ししたい。
大学院に進んだ頃の話だ。もちろん専攻は英文学でも英米語でもない、英語などとは程遠い研究科だ。
新学期の授業が始まる前に、先輩学生がガイダンスのようなものを実施してくれた。しかも英語でだ。その時の驚きを今でも鮮明に覚えている。先輩学生が新入生に英語で質問してきたからだ。
教室の最前列に座っていた私は、思わず後席に座る同級生たちを見てしまった。しかし、彼らのほとんどは平静なままだ。しかも、英語での議論に積極的に参加するものも多数現れる。
これが現実だ!と悟った。
どうして彼らは英語(英会話)が話せるのかと不思議に思った。しかし、その理由はすぐに明らかになった。博士課程の博士論文のプレゼンテーションと学位審査は英語で行われるからだ。
博士論文の最終プレゼンは長時間(2〜6時間)に及ぶ。その間正確な英語で研究成果を説明し、質疑応答にも英語で答えなければならない。
もちろん論文も英語で書かなければならない。英語が使えないと、英会話ができないと、博士の学位は手に入らないのだ。
先輩学生や同級生に、どうやって英語(英会話)を勉強したか聞いて回った。しかし、参考になる答えは得られなかった。誰もが決まって「英会話の勉強などしたことがない」と答えるからだ。
さらに悟った。
英語(特に英会話)は、それ自体を勉強するものではない、ということだ。
理工学分野の研究論文はほぼすべて英語で書かれている。他分野の研究論文もそうであろう。だから大学や大学院で真摯に研究を行うと、自然と英語力や英会話力が身につくのだ。
数学の教科書が英語で書かれているので、英語ができないと数学も学べない。
誤解しないでほしい。彼らはまず大学に入る際に厳しい入試競争で英語を勉強してきた。その基礎があってこそできるのだ。
反対に、大学院に進んで「私は英語はチョッと」などという素振りを見せると正直バカにされる。
これも現実だ!デキて当たり前の世界なのだ。
なんで英語を勉強するの?
わざわざ答えを書くまでもないであろう。
英語を使えないと相手にされないからだ。
就職活動をするときになって慌てないように。大手企業だけでなく中小企業もグローバルに競争する時代だ。外国語が話せない人材は限られた領域でしか使えない。よって、それなりの仕事にしか就けないのだ。
余談だが、英語は使えるが中身のない人間にはならないでほしい。通訳などの英語の専門職につけるくらいの英語力なら存在価値は十二分にあるが、日常英会話ならマアマア話せるけど他は何もデキませんというのも評価は高くないぞ。海外旅行は楽しめるかもしれないけど。