[2016年9月14日]
部活と勉強は両立できるのか?
発信されている情報で最も多いのは「条件付きでYES」という意見だ。
この条件付きというのがくせ者である。実は「できる」という表題を掲げながら、「条件をクリアしないと両立できない」という蝙蝠(こうもり)のような意見がほとんどなのだ。
騙されてはいけない。詐欺師がよく使うトリックと同じだ。
保護者や児童・生徒、そして学校や教師を敵に回したくないのだろうか、媚びることが利益になるからではないかと憶測してしまう。
例を示そう。
例1:これが真実!「部活をやる子は勉強ができる」
http://toyokeizai.net/articles/-/94869
「経験則上、部活を頑張る子は学力も高い」としながらも「練習が当人にとって激しすぎて、家では一切勉強が手につかない状態」の場合を例外としている。
これは論理的に結論の導き方が破たんしている。中には部活をしながら学業成績が優秀な人もいなくはないが、例外に示された状態の人もいるのだから、何か別の根拠を示さない限り、その結論には至らない。部活を続けている人も自塾に引き入れたいという意図があるのではないかと疑ってしまう。
例2:部活動をやめても、勉強するとは限らない!
http://benesse.jp/kyouiku/201504/20150406-5.html
『部活動に参加していたがやめた」生徒や、「部活動に参加していない」生徒と比べて、平日に家庭学習を「ほとんどしない」の比率が最も低いことがわかったのです。』
『平日に「3時間+3時間以上」の勉強をしている割合については、「部活動に参加している」生徒よりも、「部活動に参加していたがやめた」生徒の方が多い。』
これもミス・リードさせるキャッチコピーだ。全く勉強しない人は、「部活をしている人」と「部活をしていない人」で比率の違いは軽微だ。むしろ、部活をしている人は平日の勉強時間が3時間未満の人が圧倒的に多いというデータを掲載しながら、注目すべきところを見誤っている。
学力が平均的な生徒は、平日に3時間以上勉強しないと、成績アップしない。
『難関国公立大に多くの生徒を現役合格させている高校の先生の中には、「部活動に参加している生徒の方が、受験に必要な自己管理能力を身につけていることが多い」と考えるかたが多くいます。』
これも極めて限定された標本から導かれた結論で、一般的な結論とするには無理がある。『難関国公立大に多くの生徒を現役合格させている高校』に通う生徒は、どのような生徒か考えてみてほしい。公立中学出身なら、中学時代にクラストップを続けていたような生徒たちがほとんどだ。平均的な学力の生徒に当てはまるかどうかの検証は全くされていないまま、結論を出してしまっている。
どちらの例をとっても、データや経験則なるものから導かれるべき結論は以下の通りになろう。
・部活が原因で勉強に身が入らない、勉強時間が確保できない、のなら部活を辞めるか検討すべきだ。
・部活を続けると、勉強時間が短くなることを念頭に入れて、部活に入るか、続けるかを判断すべきだ。
勉強は、部活や習い事と並列ではない。
勉強は、部活や習い事とおなじ選択肢に入れるべきではない。
勉強は、食事、睡眠、入浴などと同じように欠いてはいけないものだ。
部活や習い事は、食事、睡眠、入浴ほど大切ではない。
勉強の優先順位は部活や習い事よりもはるかに高いのだ。
けっして間違ってはいけない。