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三田学院

[2017年1月26日]

合格作文への道

適性検査?(作文)で多い勘違いについてはすでに書いた。

合格作文には「型」のマスターが必要なことは理解してもらえただろう。

「型」がマスターできたら、次は「意見」の見つけ方を訓練しないといけない。

この「意見」がくせ者で、すでにコンセンサスになっているような「意見」や、誰でも思いつくような「意見」では得点できない。ましてや、課題文の筆者の意見をそのまま引用すると「0点」になる。

読書感想文ではないのだから当たり前だ。「あなたはどう考えますか」という設問から分かるように、独自の意見でなければならない。たまたま、別の受検生と「意見」がかぶってもかまわない。「意見」を支える「理由や根拠」との組み合わせで独自なものになっていればよい。

しかし、この「意見」を短い試験時間の中で見つけ出すのは簡単ではない。ジリジリと時間が過ぎていく中で、どんな「意見」にしようかと追いつめられる受検生が多い。独自な「意見」などと言われると、なおさらだ。

小学生に「伝えたいことを1つだけ書きましょう」などと言っても始まらない。どこかで誰かがすでに言っているような、陳腐で、くたびれた「意見」しか思い浮かばないのが関の山だ。設問にある「あなたの意見」とは到底呼べないモノになる。「みんなの意見」、「どこかで聞いた意見」だ。不合格作文の典型だ。

小学生に限らず、論理的な思考など、自然に身につくものではない。訓練が必要だ。これも合格作文指導の柱であることは疑いの余地がない。「意見(の形成)」も「型」と同じく、訓練しないとマスターできないのだ。

Q:どうすれば良いか?

A:ビジネス・スクールの演習授業を参考にすればよい。

ただし、テーマは適性検査?の頻出課題だ。経営課題ではない。

Q:誰と行うのか?

A:保護者ができるなら、保護者が最も適材だ。

Q:いつ行うのか?

A:夕食や一緒に入るお風呂の時間などだ。

夕食の団欒のテーマを、毎日のように適性検査?の頻出課題にしてしまうのが手っ取り早い。

親子で意見交換するのだ。違う意見を聞くことで思考が鍛えられる。なぜ自分と違う意見があるのか、どちらに説得力があるのか、お互いに評価し合えばよい。少しずつ「意見形成」の仕方が分かって来る。

保護者も大変だ。しかし、小学生にとって最も身近な見本は親なのだ。子供は親や親友の意見を聞いて自分の意見形成をする。しかし、親友の意見はお勧めではない。おなじ未熟な子供だからだ。適性検査?で高得点になるような意見を言える小学生などほとんどいない。だから大人である親が適材なのだ。

しかもリアルタイムで意見交換するのが良い。意見がドンドン磨かれる。「通信添削」指導はその意味で失格だ。また、一方通行でもだめだ。子供意見を聞くだけ、親の意見を話すだけでは意見交換にならない。相手の意見の論理性や正当性を評価し合うことが大切だ。よって「講義式の作文指導」も失格だ。「個別指導」か「少人数式指導」でないと「意見形成」の訓練にならない。

ただし、親が担当する場合にも条件がある。親に論理的思考力がないと訓練にならないということだ。親自身にその資格があるかどうかは、親自身が過去問を解いてみれば分かる。客観的に自己評価して自信がなければ、しかるべき専門家に任せるのが得策だ。