[2017年2月3日]
「お話しの記憶」、小学受験では「行動観察」と並ぶ主力試験科目だ。
Q:なぜ、「お話しの記憶」の試験を行うのか?
A:「学ぶ力」を的確に診断することができるからだ。
同じ授業を行っても理解の程度は人それぞれだ。この差に関して、多くの人に誤解がある。
・授業の進め方が「わが子に合っていない」。
・先生の「説明」が分かりにくい。
・先生の「指導力」が不足している。
・わが子は「落ち着きがない」ので、授業を聞いていないことが多い。
・わが子は「集中力がない」ので、授業を聞いていないことが多い。
・わが子の成績が悪いのは、学校の教え方や指導が悪いから。
・できる子ばかりに教えて、できない子には教えないから。
だから、分からない。
本当にそうだろうか?
「お話しの記憶」は、お話を聞いた直ぐ後に、「お話し」で話された内容について、いくつかの質問がなされる。つまり「理解力」が試されるテストである。内容は単純なことが多いが、何を聞かれるかが事前にわかっていないので、「お話し」の全体を理解して、重要な情報を認識する能力が必要である。
一見、大差がつかないように思われる「理解力」には、実は大きな開きがある。幼くして、すでに大きな能力差が開いているのだ。
同じ授業を聞いて結果が分かれるのは、この「学ぶ力」に差があるからだ。
この「お話しの記憶」が小学入試で実施されるのには理由がある。「お話しの記憶」で正答率が低い人は、その後の学業成績の伸びがが芳しくない。つまり授業について来れない。
・言われたことを、言われていないと言う(本人はそう思っている)。
・習ったことを、習っていないと言う(本人はそう思っている)。
・考え方や解き方の説明を受けても、直後に確認問題や練習問題が解けない。
・今日の授業に関する宿題が一人でできない。答えられない。間違えが多い。何度も間違える。
・注意されても、なぜ注意されたのか、その理由を理解できない。
もうお分かりだろう。
・同じ話(授業)を聞いても、実は大切なことを聞くことができていない。
・同じ話(授業)を聞いて、多くの人が理解できることを、理解できていない。
つまり、
・情報が与えられても適切に把握できない。
・情報が意味するものを認識できない。
何が起こるか。同じ授業、同じ練習、同じ訓練を受けても、成果が大きく分かれる、ということが起こる。
これは子供に限ったことではない。大人である保護者にもあてはまる。同じ説明をして、1回ですぐに理解できる保護者と、何度伝えても理解できない保護者に分かれる。もちろん中間層もいる。分布はグラデーションになる。
「お話しの記憶」。親子で試してみてはいかがだろうか。
低い人は、高い人と同じ努力(学習時間)では、同じ結果(学業成績)は望めないのだ。どうしたら良いかは、もうお分かりだろう。わからない人は、何度か読み直してみてはいかがだろうか。